政治アレルギーという言葉がある通り「政治的」なものには警戒してしまう人も多いかもしれません。正直わからないことが多いし、最近では裏金問題もあったりと汚い世界なのでは?
スキャンダラスな話題はとにかく目立ちますが、実はそんな世界とは一線を画した場所で、粛々と国の未来を考えている人が、当然ですが政治の世界にはたくさんいるのです。彼ら彼女たちは産業界や人々と情報交換を行い、日本が国際的に遅れを取らないよう、できることなら先進事例になれるよう日々動いています。温室効果ガス排出や、リサイクルを推し進める資源循環などは、今となっては政治のメイントピックの一つです。
温室効果ガス排出量や廃棄物の問題で、悪い意味で目立ち始めてしまったファッション業界にも、政治的な意志を使って改善しようとする力がはたらいています。最近ではヨーロッパやアメリカでファッション産業に関する規制や取り組みがどんどんできてきていますが(生産に関する情報開示を求めるものや、「サステナブル」と広告で訴求する時の決まり、面白いものでは服のお直しに助成金が支払われるなど!)、これは「人や地球に負担の少ない服を着たい」という人々の思いに政治が応え、いろいろな調整を経てみんなのルールになったものです。また日本でも、法制化こそされていませんが、環境負荷の低い服作りのガイドラインが経済産業省から発表されるなど、国内でのサステナブルファッションの盛り上がりに対応するような動きが出てきています。
国民が関心ごとや意見(世論)を表明し、産業界も無視できなくなり、政策や規制に反映されることでルールが変わる。この流れは、ファッションにももちろんあてはまるのです。ですから、もしあなたが服好きだったり、もっとよりよく服と付き合っていきたいと思っているのなら、正直言って政治を警戒している場合ではありません!
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政治にアクセスするには?
そうは言ったものの、次の選挙に出馬するわけにもいかないし(選挙カーに乗って笑顔で手を振る自分・・・ないですね)、筆者を含め普通の生活者にはどんな政治との接点があるのでしょうか?私は選挙には行くけれど、誰に投票して良いかわからず、候補者とのマッチングサイトを直前に焦って確認する程度には政治との距離感があります。(とはいえ、投票は自分の考えを表明するのに欠かせない直接的な機会ですので、期日前投票なども使いながら必ず行くようにはしています。)あとは、投票の他にやってみて意外と手応えを感じたのが、自治体にメールをしてみることです。
筆者が住む都内の自治体では、古着の回収をしています。ただ、回収された古着がどうなるのか?海外に送られて現地の環境や経済を破壊してしまうのか?それとも重宝されるのか?国内で再販されるのか?雑巾や防音材になるのか?それとも一緒くたに燃やされてその熱で発電するのか?と職業柄考え始めたら夜も眠れなくなり、区の清掃課お問い合わせにメールを送ってみました。
すると、2日とせず、丁寧にそれぞれの処理方法のパーセンテージまで記載されたわかりやすいメールが返ってきたのです。その後、区役所のチームで「こんな問い合わせがありました」と共有がされているかななんて想像しつつ、こうして古着の行き先に興味のある区民がひとりいるということを知らせることができたことに満足感を覚えました(実際の行き先を知ることをできたことももちろん助かりました)。お問い合わせメールに投票と同じくらいのパワーがあったかは定かではありませんが、このように関係性を築いていくことが、自分の「国民・都民・市民・区民としてのちから」を自覚することに繋がっていくのかもしれません。
政治にアクセスする方法は、投票の他、上記のようにお問い合わせメールを送るのでも良いし、パブリックコメントに参加したり、主張が近そうな議員さんに質問をしてみるなんてこともできます。また、遠回りではありますが本質的な方法として、例えばサステナブルファッション関連のイベントに参加するなど、関心のあるムーブメントが市民レベルで「盛り上がっている感」を出すこともとても大切です。
わたしたちが考えていること(世論)と、地続きの政治
政策提言をしたり政治に関与することを、活動家の中では影響力の「テコをきかせる」と表現しますが、欲しい未来に近づくのに政治ほどパワフルなツールはありません。ハードルが高いと思うのもとーってもよく分かりますが、ファッションを含むわたしたちの生活に関するルールを決めるのは、政治。毛嫌いしていたらもったいない。わたしたちが考えていること(世論)と政治は地続きなのです。
ShiftCで評価の高いブランドを探してお買い物をするなど、考えが近い企業から購入し応援することを指して「買い物は投票」と言われることがあります。もし、政治に今よりも少し関わることで、与えられたものから選ぶだけではなく根本のルールから一緒に考えることができたら、もっと面白くなると思いませんか?
本記事は日本のユーザーの方のために、「多様で、健康的なファッション産業をつくる」ことをミッションに活動する一般社団法人unistepsが執筆しています。