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ストーリー|2024.11.05

YOKEの世界観を堪能できる、ブランド初の旗艦店がオープン。限定品には、国内アパレル初となるNFCカードの搭載も

寺田典夫氏が2018年に設立した、日本のファッションブランドYOKE(ヨーク)。10月19日、東京・北青山にブランド初の旗艦店をオープンした。約200平方メートルの広々とした美術館のような空間で、最新シーズンコレクションや、ここでしか手に入らない限定アイテムを展開している。さらに、限定アイテムにはNFCカードを搭載し、商品の詳細情報にアクセスできるDPP(デジタル製品パスポート)と呼ばれるブロックチェーンを導入。旗艦店の魅力や、国内アパレルとして初となるDPP導入の試みについて紹介する。

原稿:藤井由香里

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ブランドの世界観を堪能できるYOKE唯一の直営店

2018秋冬シーズンより、“つなぐ”をコンセプトにスタートした「YOKE(ヨーク)」。シーズンごとに世界各国のアーティストからインスピレーションを得たコレクションを展開し、ニットを中心に、厳選素材と独自のパターンによる上質なユニセックスアイテムを提案している。

外苑西通りの一角にオープンしたYOKE初の旗艦店は、約200平方メートルの広大な空間に、2024-25年秋冬コレクションがアートピースのように並ぶ。内装設計は株式会社xing(シン)の有川靖氏が手がけ、「YOKEの集大成として、モノとヒト、ヒトとヒト、ヒトとモノがつながりあう空間」となるようデザインされている。

店内は、コンクリートの質感を活かした床や壁、重厚感のある石の什器、そしてデザイナーがセレクトした世界観のある家具で統一され、これまでにコレクションで取り上げたアーティストの作品集も自由に見られるよう飾られている。美術館のようにゆったりとした空間で、ブランドの世界観を堪能することができる。

デザイナーの寺田氏は、「美術館で座りながら作品を眺めるように、ゆったりした空間になるよう余白を意識した」と語る。

YOKE 24FWコレクションテーマは“Outrenoir(黒を超えた黒)”

2024-25年秋冬コレクションは、フランスの画家「Pierre Soulages(ピエール・スーラージュ)」の作品からインスピレーションを得ている。

「黒の画家」としても知られるスーラージュは、「黒は光の反射である」という信念を持ち、黒い絵具を使って光と影、色と反射の効果を探求。1979年初頭、彼は初めてキャンバス全体を黒で埋めつくし、後に「Outrenoir(黒を超えた黒)」と名付けられるスタイルを確立。

この独特の手法によって生まれる光沢の強い黒、マットな質感の黒、光を吸収したり反射したりする黒など、多様な表情を魅せる黒が特徴。鑑賞者の立ち位置によって、黒は暗くも明るくも見え、くすんだり輝いたり、時には灰色や白に近く見えることもある。この視点によって変化する色彩が、スーラージュの作品の奥深さを表現している。

「黒には思いがけない可能性がある」という彼の哲学に共鳴し、YOKEは黒と光にスポットを当てたコレクションを制作。旗艦店で、黒の奥深さが表現されたアイテムに触れてみて欲しい。

ストア限定アイテムには、国内アパレル初となるNFCカードを搭載

ストア限定アイテムとして、グラデーションカラーが印象的なモヘアニット、上質なシープレザーのハーフコート、ジップアップカーディガンなど全5型の限定アイテムが販売されている。「HALF BLEND COTTON YOKE T-SHIRT」は、オーガニックコットンに加え、spiberが開発した植物由来のバイオマスを原材料とする人工タンパク質素材「Brewed Protein™」を50%使用している。

これらのアイテムのタグには「NFCカード」が搭載されており、これは「DPP(デジタル製品パスポート)」として機能する。このDPPは、Shift Cを運営するUPDATER社が提供する「TADORi CHAiN – Tsunagu for Fashion」というサービスであり、これを通じて商品の詳細情報に簡単にアクセスできる仕組みとなっている。

DPPとは、商品の原材料調達からリサイクルに⾄るまで、製品のライフサイクル全体に関するデータを提供するシステム。DPPを導⼊することにより、製品の再⽣材含有率や環境負荷物質、修理のしやすさ、耐久性など、サステナビリティや循環性に関する情報を誰でも確認できるようになる。

従来は、製品に関する詳細な情報が一次購入者のみに提供されることはあったが、DPPの活用により、製品が次の購入者へ渡る際にも、NFCカードを通じて製品の所有情報を簡単に引き継ぐことができる。所有権や製品価値が適切に保たれるため、メルカリなどの二次流通市場においても、証明書付きの商品はより高い価値が見込まれるだろう。さらに、製品の真正性や所有履歴が容易に確認できるため、鑑定や価値の評価にも役立つ。

現在は、製品のトレーサビリティを確保することが求められており、2022年3月にはEUが「持続可能な製品イニシアティブ」を発表し、特に繊維業界において持続可能で循環型の取り組みが優先される方向性が示されている。また、日本でも経済産業省がアパレル業界向けに環境配慮情報ガイドラインを公表し、2026年までに対応することが求められている。

今後、DPPのない製品は、輸出や流通が制限される見通しであることから、DPPを導入することは日本のアパレル業界にとっても重要なステップとなるだろう。国内のアパレル初としてDPPを導入したYOKEは、これによって新しい購買体験を提供し、ブランドへの理解を深める機会を提供していく。

このような革新的な取り組みも体感できるYOKEの旗艦店に、ぜひ足を運んでみて欲しい。

YOKE AOYAMA
東京都港区北青山2-11-15 町田ビル2F
営業 12:00~19:00(水曜定休)
TEL 03・6804・3330
https://www.yoketokyo.com/


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