Contents
1.基本的に、化学繊維の衣服には防虫剤は不要である
衣服を収納する際、習慣のように防虫剤を使用している人も多いだろう。あらゆる衣服に使用すべきだと思われがちだが、どうやら違うようだ。
「ウール、シルクなどの動物性タンパク質で作られた天然素材の衣服を虫は好みます。高級なものほど虫食いに遭いやすいとも言われています」。(ナチュラルクリーニング講師・本橋ひろえ氏、以下同)
繊維が細い方が食べやすいから、高級な素材が狙われるという説もあるそう。
「虫は化学繊維を食べないので、レーヨンやポリエステルなどの素材は虫食いに遭うことはありません。
ただ、食べこぼしや角質の汚れが衣服に残っていると、それを虫が食べることがあるので化学繊維の衣服に穴が開くことがあります。直接皮膚に触れて、たんぱく質の汚れがつきやすい襟や脇、袖など部分は、固形石けんを使ってしっかり汚れを落とします。そうすれば防虫剤は必要ありません」。
2.一度でも着た衣服は、必ず洗濯してから収納する
「夏の衣服には先ほどのタンパク質汚れのほかに、汗と一緒に流れた日焼け止めがついていることがあり、翌年着ようとした時に変色していた、ということがあります。気になる汚れがあったら、固形石けんでしっかり揉み洗いをしておきましょう。クレンジング剤でないと落ちない成分は、メイクを落とすのと同じ要領で乾燥した状態でクレンジングを使ってから落とし、それから固形石鹸を使って洗うと良いです」。
3.クローゼットや引き出しは定期的に開けて通気させることが防湿になる
「家の作りや環境によっても違いますが、クローゼットや箪笥は窓から遠い場所にあることが多い。つまり空気が流れないようになっています。そこであえてクローゼットのドアを、例えば出かける時に全部開けるなどして空気を動かすことが、防湿につながります。引き出しも開けてみるのも良いです。週1〜2回でもだいぶ違いますよ」。
物をしまう場所であるクローゼットのドアは基本締めるものと思いがちだが、定期的に開けるのが良いとは目から鱗な印象だ。
「衣服には水分を含みやすいもの、含みにくいものがあります。洗濯して乾くのが遅い、厚みのある綿などは湿気を含みやすいです。さらに汚れが残っていたりするとカビが生えてくることもあります。時々干して湿気を飛ばすと良いです」。
クリーニングから戻ってきた時に被っているビニールをつけたまま収納するのもNG。完全に乾燥していないことがあり、カビの原因になることもあるので必ずビニールを外してから収納すること。
4.収納する時の衣服の詰め込み具合は、8割までが目安
服持ちの人の中には衣装ケース、引き出しが衣服でパンパンになっている人もいるのではないだろうか。
「衣服を入れるのは8割までが目安と言われています。空気の流れが悪くなり密封状態になってしまうからです。防虫剤を使っても、全体に行き渡らなく効果が期待できません」。
5.防虫剤は、天然素材のものを選ぼう
防虫剤は化学物質で作られたものより、人体に悪影響のない天然素材のものが環境にも優しいチョイスだ。小さい子供やペットのいる人は、意識している人も多いだろう。
「ウッド系で防虫効果が高いのは、檜(ひのき)やヒバ、シダーなど。昔ながらの檜のタンスは理にかなったものなんですよね。私はよく、ふるさと納税でヒバのチップを取り寄せて防虫剤として使っています。直接衣服に触れさせると樹脂で変色することがあるので、お茶パックなどに入れて引き出しに入れたりしています。アロマで防虫効果があるのはレモングラス、ラベンダー、ユーカリなど。重曹を入れた瓶にアロマオイルを垂らして、クローゼットの隅などに置くと良いです。ただオイルは揮発性があり、ペットには刺激が強いので気をつけてください」。
気に入った衣服は大事に洗って大事にしまう。翌年気持ちよく着るために、一手間かけてみよう。