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破棄される草木で天然染めを施した新ライン
渋谷区富ヶ谷の、いわゆる“奥渋”エリアに「Graphpaper conservatory」が2月7日にオープンした。ここは以前、花や植物を扱うクリエイティブスタジオedenworksのショップ「conservatory by edenworks」があった場所だ。天井が高い店内の入口近くには植物が置かれ、中二階にアパレルが並ぶ。

「edenworksの篠崎(恵美)とは友人なのですが、彼女たちが店舗を移転させることになったんです。でもこの場所を気に入っているので、一緒に何かできないかと相談されたのがきっかけです。
ここで扱う服は『Graphpaper ―(グラフペーパー マイナス)』という新しいラインです。
今、みなさん食などに関しては素材に気を使っていると思うんですけど、ファッションってそういう側面が見えづらいよなと思っていて。
僕自身、作り手を訪ねていろんな土地を回っているのですが、特にヨーロッパなどでは、デザインとして欲しいと思うものを買ってみたら、環境に配慮した素材でできているってことが当たり前にあるんですよね。でも日本ってそういうことがあまりないなと思っていました。
篠崎の話とリンクさせて、植物と洋服のある店をやってみようと思ったんです。
彼女たちがインスタレーションの仕事をしていると、どうしても廃棄する草花が出てしまうというんですね。だったらそれを染めの素材に使うことはできるんじゃないかと思って、天然染めを取り入れることにしたんです。それがグラフペーパー マイナスです」(Graphpaper ディレクター 南 貴之さん、以下同)

前の店から受け継いだ考え方
「この店を通して、世の中を変えようとかそういう気持ちはないんですよね。ただ、草木染めなどの環境に配慮した素材がデザインとしてファッションとして定義できて、僕たちのコンセプトとして成立させられる一番いいタイミングだったんです。
前の店がやってきたことを受け継ぐようなかたちなので、名前にもconservatory(温室)という部分を残しました。
内装に関してはなるべく変えずに前の形を維持しつつ、僕らの店舗に必要な機能をどう追加するかを考えたんです。
植物たちがこの環境の中で生きていくためにどうするかを篠崎にアドバイスもらいながら、植物を洋服と混ぜて展示するのはあまり良くないなと思って、上下でスペースを分けました。
新しいものを一から作りましたというよりは、場所や考え方を受け継いでいくみたいな意味合いがあります」


「植物からだいたい 6〜8ぐらい染色の染め分けができるそうなんです。
染色をお願いしている会社がこういう色が出せますよってサンプルを出してくれて、その中から僕らが選んでいます。
僕も洋服作りの中で色へのこだわりって結構強いんですけど、やっぱり自然のもので染めたものは、他とは色の出方が違って柔らかく出るっていうか、理屈では説明できないんですけどすごく綺麗だなと思いました」
素材云々ではなく、捨てられない服をつくること
草木染めのほかに、グラフペーパーが定番で出している釣り編みで作った天竺を、オーガニックコットンで作ったアイテムも並ぶ。
「以前ヨーロッパでナチュラルワインやアイスを扱っている店に入ったら、置いてあったオリジナルTシャツが、オーガニックコットンで作られていたんですよね。あ、そうか、そうだよなって思って、とても自然なことだという印象を持ったんです。
その後、帰国してからオーガニックコットンのアイテムを作れないかな、なんてぼんやり思ってたら、いつもお願いしている和歌山のニッターさんが、『南さん、ヨーロッパ行ったんだったらオーガニックコットンとか気になってないですか?試しに編んでみたんですけど』って言って見せてくれたんです。
気持ちが通じているというか、すごい!って驚きました。無染色でコットンそのものの色で、いい感じにできています。
以前、チリの砂漠に衣服が大量に捨てられている映像を見て衝撃を受けたんですが、化学繊維がどうだとかってことではなく、捨てられないものを作るっていうのが一番のポイントだと思うんです。
グラフペーパーというブランド自体が基本的に定番の服で、セールをしないで価値を下げないようにしていきたい。
そのベースとなる考え方としては、継続的に着続けられるものっていうのが根幹にあったので、そのベースのコンセプトはずらしてないんですけど、染めとか素材をちょっと考えていこうということ、それが僕にとってのデザインになっています。
いつも素材作りがあって、その時点でデザインの7〜8割は終わってるので、今回はそういったことを念頭において生地を作っていったんですけど、逆に面白かったですね。
ただ、何もかも全部オーガニックコットンじゃなきゃとかそういうのはナンセンスだなと思っていて、できる限り無駄をなくして、廃棄されない、捨てられない洋服をどうやって僕らが提案して作っていけるかを考えています」
アイテムのその背景を知ってもらうことで、愛着を感じてもらいたい

グラフペーパー マイナスのタグには、各工程の作り手の企業名が明記されている。
「いまQRコードを用意していて、もっと詳しく知りたい人はそこにアクセスして読んでもらうようにする予定です。
以前に比べたらどこで作られたかを気にする人は増えたと思うんですよね。
たとえばワインなどはブドウの品種や作られた場所、生産者の名前が書いてあると思うんですけど、洋服だけはぼやっとしてる。だからどこの生地を使ってどこで染めてどこで縫ってみたいなことが全部書いてあるっていうのがこのブランドのポイント。それを知ることでそのアイテムを大事にしてもらえたらいいなと思うんです。
作り手の顔が見えないと不安だって人もいるんでしょうけど、僕は不満・不安っていうよりか愛着を持ってもらいたいですね。
まあ、単純にこの店素敵だなと思って来ていただいて、植物が好きな方は植物を買っていくと思うんですけど、植物と共存した上で、洋服も同じような目線で見ていただけたらいいなと考えています」

住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-14-11
電話番号:03-6407-0701
営業時間:12:00〜19:00
定休日:水曜日
