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ファッション|2025.11.25

最初のクライアントがビリー・アイリッシュ!驚きのヴィーガン起業ストーリーを恵利沙がインタビュー

プラントベースコンサルティングジャパンというヴィーガンフードを提供する企業のCEOは、現在大学4年生のブリンクマン恵美さん。なんと起業した最初のクライアントがビリー・アイリッシュだったのだそう! 【Shift Changers】ベイカー恵利沙さんが所属する団体Media is Hopeのイベント「みんなでつくろう再エネの日!」にも2024年から参加しているという縁もあり、今回はブリンクマンさんのユニークなプロフィールを恵利沙さんにインタビューしてもらいました。

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ベイカー恵利沙
1989年生まれ、オレゴン州と千葉県育ち。モデルとしてキャリアをはじめ、ファッションスタイリスト、ライターなど活動の幅を広げ、2017年ニューヨークに拠点を移す。ファッションブランドとのコラボレーションを多数手掛けながら、ライターとして現地の情報を発信。気候変動を中心とした社会課題への関心が高まり、2023年には気候変動報道を中心にメディアの連携をサポートする団体”Media is Hope”に海外コミュニケーション担当として参加。日本と海外メディアとの橋渡しを務める。

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大学に在籍しながらヴィーガンのケータリング会社を起業した、ブリンクマン恵美さん

右:ブリンクマン恵美>>2002年生まれ。上智大学2年生の時に、ヴィーガンサークルを立ち上げる。2024年にヴィーガンフードを提供する企業、プラントベースコンサルティングジャパンをスタートさせた

恵美さんとの出会いは、私の所属する気候変動解決に向かうための団体「Media is Hope」主催の「みんなでつくろう再エネの日!」というイベント。気候変動と再エネ普及のために真摯に向き合う方たちが集まるこのイベントで、恵美さんのプラントベースコンサルティングジャパンにフード出店をしていただきました。
明るく熱心に真っ直ぐな姿勢で、美味しいヴィーガンフードを提供してくれる恵美さんは、イベントに欠かせない存在です。登壇者の方たちも、イベントに来てくださる方たちも、笑顔で「本当に美味しかった!」と言ってくれる姿を多く見かけました。

今回のインタビューを通して、恵美さんのストーリーは、まさしく彼女の熱意と行動力が導いたものだと実感しました。大きなチャレンジも、軽やかに乗り越えられちゃいそうなそのエネルギーに、私自身もとてもパワーをもらいました。そんな恵美さんのお話、是非お楽しみください!

英語の先生から教えてもらったドキュメンタリー映画をきっかけにヴィーガンに

ベイカー恵利沙(以下、恵利沙) 恵美さん、お久しぶりです。恵美さんのお話を聞けるのを楽しみにしていました。恵美さんがCEOを務めるプラントベースコンサルティングジャパンについて是非お話を聞かせてください。まず、恵美さんがヴィーガンになったきっかけはなんだったのでしょうか。

ブリンクマン恵美(以下、恵美) 恵利沙さん、お久しぶりです! 私もお話しできるのを楽しみにしていました。
ヴィーガンになったきっかけは高校2年生の時の英語の先生がヴィーガンだったことです。私はその時初めてヴィーガンの方にお会いしたのですが、それまではお肉ばかりの食事をしていて、ヴィーガンのことを何も知らなかったんです。その先生が授業中に、例えば牛乳は実は環境問題にこんな風に影響しているんだよというようなことを言っていて、そのときは「?」って感じだったんです。本当なのかなって。そんな風に懐疑的になっていた中で、高校3年生で環境問題についてディスカッションしたときに、先生に「カウスピラシー」というドキュメンタリー映画を勧められて。その日の夜に観て、もう大号泣したんです。今まで自分が食べていたものがどれだけ環境に悪影響だったのかを知らなかったので、その次の日からヴィーガンになろうって決めました。

「カウスピラシー サステイナビリティの秘密」Netflix 2014年

恵利沙 私も8年前にアメリカに来て初めて、畜産業がどのように環境に影響を与えているのかということを知って、それまで全く知らなかったので、衝撃だったことを覚えています。
恵美さんは次の日からすぐにヴィーガンになったということでしたが、初めは外食や食事の選択など、大変なこともありましたか?

恵美 そのときはコロナ禍だったので、対人関係などで大変ということはなくて、でも初めは自分自身の知識がなかったから何を食べていいのか分からなくて、質素なものばかり食べていたんです。それまでの食事から、肉や魚などの動物性のものを抜いただけの食事をしていて。でも実はヴィーガンでも麻婆豆腐とか、これまでの食事と同じものが作れるってことがその後わかって、それから家での食事は楽しめるようになりました。 コロナが落ち着いてきてからは、やっぱり外食の選択が初めは難しかったです。大学二年生のときにヴィーガンのサークルを作って、ヴィーガンの友だちや、ヴィーガンに関心のある友だちが増えてからは、かなり楽になりました。

サークルのみんなで大学の2022年のソフィア祭(文化祭)に出店した時の写真。サークルの活動の様子はインスタグラム@sophiavegansociety

恵利沙 大学2年生のときに立ち上げたヴィーガンサークルが、今やられているプラントベースコンサルティングジャパンの基盤になっていくのでしょうか。サークルのお話を是非お聞かせください。

恵美 そうですね、もともと大学1年生のときには陸上部に入っていて、ヴィーガンなことをあまり人にも言えていなかったんです。練習後にみんなでカツ丼屋さんに行ったときに食べられるものがなくて、どうしていいか分からなくて何もオーダーしなかったんです。そしたら先輩が優しさで一切れ分けてくれたんですけど、そのとき本当にどうしたらいいのか分からなくて、その一切れは食べたのですが、このときにヴィーガンやベジタリアンの友だちやコミュニティが欲しいなと思ったんです。サークルを始めて1年で90人くらい集まってくれて、やっぱり求めてた人がいたんですね。そのサークルの活動を通して、ヴィーガンの業界でお仕事されている様々な方に会う機会が増えて、サークルを運営して2年くらいで、自分もヴィーガンの関連で起業したいなって思ったことが、今のビジネスの基盤になっています。

ある日届いたVIPへのケータリング依頼のメール。実はクライアントはビリー・アイリッシュだった!

恵利沙 事業の内容を教えていただけますか?

恵美 今はヴィーガンに特化したメニュー開発やケータリングのサービスを提供しています。

恵利沙 ビリー・アイリッシュさんの来日ライブの際のケータリングをされていたと聞いたのですが、それはどういうきっかけで決まったのでしょうか

恵美 私の知り合いのヴィーガンレストランをやっている人の元に、VIP用の150人くらいのケータリングが出来ないかというだけの、すごく短いメールが突然届いたんです。その人のお店ではケータリングはやっていなかったのですが、以前私が「ヴィーガンのケータリングを始めます」って伝えていたのを覚えていてくれて、それで先方に私を紹介してくれたんです。
なんだかあまりに内容がわからないけど、一度ズームしてみましょうってなって。そのズームでもビリー・アイリッシュのケータリングであることは明かされなくて、でもそのときから、本当に環境に配慮しているクライアントだから、プラスチックとかは絶対に使っちゃダメだということは言われていて。その次の打ち合わせではじめて、クライアントがビリー・アイリッシュだということを聞かされて、あまりにサラッというものだから本当にびっくりしました。

恵利沙 そんな経緯だったんですね!すごすぎる!ビリーアイリッシュだと聞いたときの心境はいかがでしたか?

恵美 ビジネスの場面なので顔に出しちゃいけないと思ってそのときはポーカーフェイスを貫きましたが、ズームを切ったあとは叫んじゃいました!嘘でしょって!って。詐欺だと思いました(笑)。

恵利沙 そうですよね!その経緯、すごすぎます!その時点で、150人規模のケータリングはやられたことがあったんでしょうか?

恵美 なかったです、初めてでした!実はそのお話をいただいたのが、会社を正式に設立する2週間前くらいだったんです。会社登記と同時にそのケータリングをやるという感じでした!(笑)

恵美さんがCEOを務めるプラントベースコンサルティングジャパンのインスタグラム@plantbasedconsulting.jpより

恵利沙 本当にすごいストーリーですね!それは恵美さんがいろんな方に声をかけていたからこそ、実現したことなんだと思います。私もビリー・アイリッシュは音楽もそうですが、彼女の発信していることがとても心強くて好きなので、ケータリングのときもプラスチックを禁止するなど、徹底的に信念を突き通していることを知ってますます嬉しくなります。

恵美 私ももともと、発信も含めて信頼して応援できる方だなと思っていて、実際にケータリングをさせていただくなかで、ますます好きになりました。本当にこだわりのある方なんです。プラスチックが使用できないので、お水もガラス入りのもので出したし、食事はヴィーガンでありオーガニックで。

恵利沙 それをよく初めての仕事でやりましたね!次の年もまた声をかけてもらっているんですもんね

恵美 そうなんです、初めは私でいいんですか?って感じだったんですけど、今年の8月にまた彼女が来日した際にお声がけいただいて、本当に嬉しかったです。

ケータリングで提供したヴィーガンメニュー。上:レインボー寿司。下:さくら寿司

恵利沙 ちなみにどんなメニューを提供されたんですか?

恵美 海苔巻きとか、ヴィーガン寿司とか、桜餅とか、日本っぽいものを作りました。あとは彼女のプロデュースした香水をモチーフにしたデザートも作りましたね。朝食にはフルーツをたくさん食べたいということだったので、フルーツ盛りのプレートを提供しました。

恵利沙 彩りも本当に美しいですね!

恵美 そうですね、ヴィーガンだとやっぱり様々な野菜とか食材を使うので、そのおかげもあって色鮮やかで綺麗な料理に仕上がることが多いなと感じています。

上:ビリーの朝ごはん。下:さくらもち

恵利沙 ケータリングを依頼されるのって、やっぱり ビリー・アイリッシュさんみたいなもともとヴィーガンだったり、気候変動に対して関心が高い方たちが多いんですか?

恵美 そうじゃない方たちからの依頼の方が多いかなと思いますね!ヴィーガンを勉強したいとか、サステナビリティに興味があるっていう会社さんとかから依頼をいただいたりとか 。

恵利沙 そういう経験を通して感じることはありますか?

恵美 そうですね、例えば日本ではヴィーガンって言ったときにポジティブに受け取ってもらえるのは女性が多いなという肌感で。 男性の場合の方は、ヴィーガンフードというと、ちょっとおしゃれな感じの食事と思われるか、もしくはアニマルライツのイメージを強く感じるような方が多いみたいです。そうするとやっぱり少し遠い存在に感じてしまう方もいて。海外の方が集まるヴィーガンイベントでは男女比率が半々くらいなのが、日本の方が集まるイベントだと8、9割が女性なんです。なので、男性にもヒットするような食べ物って考えたときに、ガッツリ食べられるようなメニューの方がいいのかなと思って、チキン南蛮とかを作ったりしています。

恵利沙 なるほど、イベントに合わせてメニューを変えるというような工夫もあるんですね。色んな方をどんどん巻き込んでいけるというのはすごく素敵です!

2024年の「みんなでつくろう再エネの日!」に出店中のブリンクマン恵美さん(左)とスタッフさん

あれはダメ、これはダメではなく、美味しいものを食べてもらって、そこからヴィーガンについて知ってもらいたい

恵利沙 ヴィーガンの理解がまだ正しく広まっていない側面もあるのかなと私自身の体験を通しても思うことがあるのですが、ヴィーガンのケータリングを行う上で、心がけていることってありますか?

恵美 そうですね、伝え方がとても大事だなと思っています。ヴィーガンを選ぶ理由を伝えたいと思うときに、あなたたちがやっていることはダメなんだよっていう伝え方をするよりも、まずは美味しいものを食べてもらって、実はこれヴィーガンなんだっていう風にアプローチをして、その背景にも興味を持ってもらえると良いなと思っています。

恵利沙 それはサステナビリティとか気候変動のことでも共通する部分があると思っていて、恵美さんの言っているように、それはこんなに環境負荷が高いんですよ、それは良くないことですよ!っていうよりも、楽しい側面を広めていく方が伝わりやすいし、持続可能だろうなと思います。

私と恵美さんの出会いは、私の所属している気候変動解決に向けた団体Media is Hope主催の、「みんなでつくろう再エネの日!」というイベントでしたね。今年も食事のブースで出店していただいてありがとうございました!再エネの日のイベント、いかがでしたか?

恵美 今年は二日間の開催でしたが、特に初日はアーティストの方が出演されていたり、なんだかファンキーですごく楽しい雰囲気があって、一体感を感じました!

恵利沙 ありがとうございます。来場者の方は、皆さんどういうリアクションでしたか?

恵美 来場者の方は再エネや気候変動に関わる方に限らず、色々な方がいるのが印象的でした。チキン南蛮やパスタなど、ヴィーガンと聞いてなかなか想像しないようなメニューを作ったのですが、皆さん美味しいって言ってくださって嬉しかったです。これヴィーガンなんだっていう驚きの声もいただいて、やっぱり食べてもらって体験してもらうのが一番いいなと思いました。そういう機会を提供できたのだと思うと嬉しいです。

目指すはヴィーガン業界でのシェアナンバーワン

恵利沙 これからの展望はありますか

恵美 元々は自分のお小遣いではじめたビジネスであんまり大規模なことができなかったので、これからは資金調達をしてレストランなどの事業を広げていきたいです。来年大学を卒業したらそのまま今のビジネスに集中するので、ヴィーガン界でシェアナンバーワンを目指していきたいなって思っています!

恵利沙 恵美さんの想いと行動力なら絶対なれます!その熱意、とても伝わりますし、すごく心強いです。私はこの7年くらいペスカタリアンなんですけど、 ニューヨークに住んでいると、どのお店にも必ずヴィーガンとかベジタリアンとか、 グルテンフリーとか色々なオプションがあるんです。
それだけ色んな食生活の方がいるということなんですけど、選択の背景にも本当にいろんな理由があって、アニマルライツが理由の人もいれば、環境問題が理由の人もいれば、宗教や健康上の理由もあったり。
自分の意思が関係あるときも、アレルギーみたいに自分の意思とは関係ないときもあって。何人か集まれば、その人の数だけ食の選択肢があるんだなと気付かされたんです。誰もがその選択が守られて、どこにいても安心して食事をいただけるというのは大事なことだなって。
そういう意味でも、いろんな理由で食の選択肢があるっていうことがどんどん広まっていくと、 安心できる人が増えるんじゃないかなって思っています。恵美さんの活動、これからも応援しています!

恵美 ありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです。がんばります!

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