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天然素材やリサイクル素材、くりかえし使えるものなど、サステナブルなテーマは幅広い
全国にファンの多い無印良品は、サステナブルな取り組みにも力を入れている。2025年3月、奈良県にオープンした「無印良品 イオンモール橿原」は循環をテーマにし、衣服のアップサイクルとリサイクルのプロジェクト ReMUJIはスタートして10年になる。商品の開発においても、天然素材やリサイクル素材、これまでは破棄されていたようなものを使用することに積極的だ。
特に秀逸な10テーマ、30商品をセレクトした。
1.オーガニックコットンを使った衣服
「良品計画は1999年からオーガニックコットンの使用を開始しました。2023年からは『社会や環境に配慮された綿を100%調達する』ことを目標に掲げ、オーガニックコットンに限らず、選択肢を増やす事で安定した原料調達に努めています。
良品計画が社会や環境に配慮された綿として評価したものは、オーガニックコットン（※1）を中心に、持続可能に栽培されたコットン（※2）、再生コットン（※3）等です。
コットンは、農業に適さない乾燥地帯や砂漠気候でも栽培できる数少ない植物です。このうち各国の有機農法の基準に沿って栽培され、環境や生物に大きく影響を及ぼす可能性のある農薬を使用せず、農薬の残留成分が減少するとされる一定期間を経た土壌で栽培された綿が、オーガニックコットンと呼ばれています。
再生コットンは、衣料品の製造工程において生地を裁断する際に発生した端切れやB級品など、通常は捨てられてしまうものを廃棄せずに仕分け、粉砕してワタ状に戻し、未使用の綿と混ぜて再生した素材です。素朴な風合いが特徴です」（良品計画 広報担当）
※1 Regenerative Organic Certified (ROC) /Global Organic Textile Standard (GOTS) / Organic Content Standard (OCS) など
※2 零細農家の生活・労働環境の改善、産地の自然環境の保全を目的としたCotton made in Africa (CmiA) など
※3 リサイクル原料を使用する国際認証Global Recycled Standard (GRS) /Recycled Claim Standard (RCS) など
マドラスチェック シリーズ
インド南東部にあるタミルナード州で昔ながらのシャトル繊機を使って織られた布を使用。柔らかく軽やか。一点一点仕上がりや柄の出方が異なるが、あえて自然な表情として捉えている。オーガニックコットンを使用。
左：婦人 マドラスチェック キャミソールブラウス
右：婦人 マドラスチェックフレアスカート
Tシャツ
メンズ、レディース共に半袖、長袖、ボーダーなどバリエーションがある。
婦人 太番手ボートネック長袖Ｔシャツ
パジャマ・ルームウェア
タオルに包まれているような着心地のする、両面がパイル仕様。パイピングがポイントになっている。オーガニックコットンを使用。
2.服育仕様のTシャツ
ゴールデンハムスター、メキシコウサギなどの絶滅危惧種の動物をモチーフにしたTシャツ。子供にとって環境について知るきっかけとなる服育仕様。また売り上げの一部が、国際自然保護連合（IUCN）の日本委員会（IUCN-J）へ寄付される。
「肌あたりの優しい仕様にリニューアルしました。柔らかな風合いの縫い糸を使うことで、肌あたりをやさしく仕上げました。綿とポリエステルを合わせた、軽く、乾きやすい素材なので汗をかきやすい子供たち、洗濯する家族のことが考えられています。ベビーサイズはあたまがするっと通るので脱ぎ着が簡単。ひとりでのお着替えを応援します。子供たちがＴシャツを着ることが、モチーフとなる生きものの保護活動に繋がると同時に、生きものたちの置かれている状況に興味を抱くきっかけとなることを期待しています」（良品計画 広報担当）
左：ベビー あたまするっと 天竺編みプリント半袖Tシャツ
右：キッズ 天竺編みプリント半袖Tシャツ
3.再生ポリエステルを使用
生地に再生ポリエステルを使用し、撥水加工が施されたアイテム。2WAYで使えるサコッシュ、特許技術を使ったオリジナル肩紐が肩への負担を軽くするリュックなどディテールにも工夫がされている。
「この商品は表地、裏地に再生ポリエステルを100%使用しています。リュックは重い荷物を背負った時に、肩にかかる荷重が肩紐幅全体にかかるよう設計しました。実際の荷重以上の重みを感じたり、肩紐が肩に食い込んで痛みが生じるなどの事象が軽減され、『肩の負担を軽くする』効果が得られます。PC収納ポケット手前に仕切りポケットとキャリーバーに取り付けられるようにベルトを追加しました。様々なシーンで利用できます」（良品計画 広報担当）
左：ポーチとしても使える 撥水サコッシュ
右：肩の負担を軽くする 撥水リュックサック
4.再生ポリプロピレンを使用
プラスチックの中でも、より汎用性の高いポリプロピレン（PP）の再生材を使用したシリーズ。
「良品計画では特定認証（※）を確認した再生ポリエステル、再生ナイロン、再生ポリカーボネートなど、再生原料を使用した合成繊維を調達しています。再生原料を使用することで、新たな化石由来原料の使用が減り、環境負荷低減に寄与することができます。再生ポリエステルは主にペットボトル由来の材料を、再生ナイロンはプレコンシューマーリサイクル（糸生産工程で出た廃棄繊維）の材料を、再生ポリカーボネートはウォーターサーバー由来の原料を使用しています」（良品計画 広報担当）
※リサイクル原料を使用する国際認証Global Recycled Standard (GRS) /Recycled Claim Standard (RCS) など
再生ポリプロピレン入り 頑丈収納ボックス 小
5.天然素材を使用
自然界に存在する素材を使ったアイテム。畳表にも使われるシーグラス（七島藺｜シチトウイとも呼ばれる）や、丈夫で通気性の優れたジュート使ったものなど様々。
「ジュートは、黄麻(コウマ)と呼ばれる植物です。耐久性の高い特徴を生かして、古くから穀物袋やラグなどに利用されてきました。
熱帯、亜熱帯地方の高温多湿で農業に不向きな湿地で主に栽培され、他の種類の麻と同様に、成長速度が非常に速く、CO2を効率よく吸収します。病害虫にも強く農薬をほとんど必要としないため、少ない肥料や水で栽培できる環境負荷が少ない植物です」（良品計画 広報担当）
6.繁殖力の強い植物を使用
生長の早い植物は、周辺の環境や他の産業に被害を与えることもある。そういった植物たちを伐採後、日用品などに利用。
「ベトナム南部のロンアン省では、ウォーターヒヤシンスがわずか数週間で水辺を覆い尽くすほど繁茂し、生態系に悪影響を及ぼしています。この問題に着目し、除去するだけでなく、太く長い茎を活かした手工芸品として再活用。収納用品などに取り入れています。竹は生長の早い竹をパルプの原料に100％使用しています。３年で育つ竹を原料として活用し、無漂白で仕上げました」（良品計画 広報担当）
左：ウォーターヒヤシンス ラウンドバスケット 浅
右：ウォーターヒヤシンス 持ち手付きラウンドバスケット 大
左：竹100％ティッシュペーパー
右：竹100％キッチンペーパー
7.くりかえし使えるもの
大切な衣服類を収納する時に使用する除湿剤や防臭剤などは、使い捨てではなくくりかえし使えるものを選びたい。ここで紹介する商品は、除湿には紙おむつにも使用される吸湿素材が、脱臭には天然素材が使われている。
「使用頻度の高い日用品だからこそ、長く使っていただけるように商品開発しています。また、素材自体も環境配慮の視点で選択している商品もあります。不揃いレッドシダーブロックは消臭効果のあるレッドシダーの商品を作る際に出る端材を活用しました。竹はCO₂吸収力が高く、再生可能で環境負荷の少ない天然素材です。繁殖力が強く、放置すると竹林が過密になり周辺環境に悪影響を及ぼすため、適切な間引きが必要です。伐採された竹を捨てずに商品化することで、資源の有効活用と新たな価値の創出につながります」（良品計画 広報担当）
左：消臭機能付き くりかえし使える除湿剤
右：くりかえし使える脱臭竹炭
8.洗濯による環境負荷を減らす
天然素材の界面活性剤を使用した洗剤、繊維くずを通しにくいネットを使うことで、洗濯による排水の汚れを軽減することができる。
「石油由来の界面活性剤を使用する合成洗剤は、生分解されにくく環境への負担がかかります。また、石鹸は水質に左右され、地域によっては洗浄力が十分に発揮されず多量の石鹸カスが発生し環境へ影響がある可能性もあります。このような課題を解決するために、無印良品の洗剤シリーズは、環境に配慮して栽培されたヤシの実を使いました。植物性の界面活性剤を使用しているため、排水は微生物によって水や二酸化炭素などの無機物に分解され、自然へと還っていくことで、環境負荷を減らします」（良品計画 広報担当）
衣類用洗剤
9.製造工程で出た素材を使って
果汁を絞った後に残る皮を使ったスナック。乾燥させた後、塩をまぶしてある。
「素材や製法にこだわり、毎日のおやつとして楽しんでいただけるお菓子を作っています。果汁を絞ったあとの果皮を使うことで、果物を余すことなく使っています。果皮の酸味やほろ苦さを生かすために、塩をまぶしてシンプルな味わいに仕立てました。『ソルティピールチップ 土佐文旦』の原料は、形が細長くサイズが小さいため、これまでは廃棄されていた規格外の土佐文旦も使用しています」（良品計画 広報担当）
左：ソルティピールチップ 瀬戸内レモン 12g
中：ソルティピールチップ 土佐文旦 12g
右：ソルティピールチップ 愛媛なつみかん 12g
10.環境に寄り添った作り手との製品
地球環境を考慮しながらコーヒー栽培をしているブラジルのダテーラ農園では、サイズが小さいという理由で輸出に使っていない豆があった。それらを無印良品が買い取り、オリジナルブレンドに使用している。
「コーヒー最大の生産国ブラジルでは、豆のサイズと、虫食い豆などの欠点豆の数で輸出規格が定められています。現地では輸出規格の商品にするために選別工程があり、そこから外れた豆は輸出にされません。そこでコーヒー農家を支援する取り組みとして、少しでもコーヒー豆の輸出量を拡大することを目指し、ダテーラ農園とともに、味は変わらないもののサイズが小さいことから輸出規格外になった豆を一部使用したオリジナルブレンドコーヒーを開発しました」（良品計画 広報担当）
左：オリジナルブレンド ミディアムテイスト コーヒー 豆 200 g
右：オリジナルブレンド ミディアムテイストコーヒー 粉 200g
