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ストーリー|2025.03.13

知ってる?ユニークな「サステナブル素材」を使った日本発の注目ブランド

服のサステナビリティを決定づけるうえで大切な「素材」。大きく「オーガニックの天然繊維」「合成繊維」「リサイクル素材」の3つがあり、日進月歩だ。では、私たちが実際身に着けられる服としては、どんなものがあるのか? 思わず語りたくなる、気鋭のブランドを紹介。

原稿:白石 綾

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さとうきびから生まれたデニム「SHIMA DENIM(シマ デニム)」

沖縄で生まれたさとうきびの搾りかす「バガス」を繊維や生地にアップサイクルしているのがSHIMA DENIM(シマ デニム)だ。沖縄県の基幹農作物であるさとうきび。そのさとうきびは沖縄の耕地面積の約5割を占めており、年間収穫量は約80万トンにのぼる。収穫されたさとうきびは製糖工場に運ばれ、砂糖へと加工されるが、その過程で副産物である「バガス」が発生している。
このバガスは沖縄県内でも年間20万トンほど発生しており、主には焼却燃料や肥料として活用されているが、それでも一定量の余剰バガスが発生してしまう。その更なる有効活用法が模索されている中で生まれたのが、このSHIMA DENIMだ。

 SHIMA DENIM WORKSの循環型モデル

ジーンズの生地の生産工程は、まずバガスをパウダー状に粉砕し、マニラ麻と合わせて和紙に加工、その和紙を細くスリットし、撚り合わせた和紙糸を製造する。このバガス和紙から作られた糸を緯糸として織り上げて生地が作られる。また、製品の製造工程で発生する生地の端切れなどを回収し、自社製炭炉にて炭に加工することで土壌改良材等に活用するなど、循環型のものづくりを行っている。

【 momiji × SHIMA DENIM WORKS(モミジ×シマデニムワークス)】天然藍ジーンズ ダークインディゴ/ SHIMA DENIM WORKS ¥60,500(税込)

SHIMA DENIMは俳優の松山ケンイチさんと小雪さんによるライフスタイルブランドmomijiとのコラボレーションジーンズも販売している。

活かしきれない「資源」を利活用してさまざまなアイテムを展開するmomiji〈モミジ〉とのコラボレーションによって生まれたこのジーンズは、松山ケンイチさんのこだわりが詰め込まれたオリジナルのデザインだ。エコ染色という環境に配慮した独自の染色方法を確立している「坂本デニム」によって天然のインド藍で染色された綿糸が使用されているなど両ブランドのフィロソフィーが詰まった1本となっている。

【 momiji × SHIMA DENIM WORKS(モミジ×シマデニムワークス)】天然藍ジーンズ ライトインディゴ/ SHIMA DENIM WORKS ¥66,000(税込)

吸湿速乾性に優れ、蒸れを軽減してくれる和紙糸が織り込まれたデニム以外にも、バガス和紙入りの靴下や小物アイテムも充実している。バガスに含まれる成分により、高い消臭・抗菌効果も認められており、さらりとした肌触りで、季節を問わず活躍してくれるだろう。

ヘンプ100% 2wayのデザインスリーブワンピース「weavearth(ウィブアス)」

ヘンプデザインスリーブワンピース / Weavearth ¥39,600(税込)

京都で100年以上に渡り培われたリネン素材の知恵を伝える㈱AKAIの新たな挑戦として立ち上がったブランドweavearth(ウィブアス)。

ブランド名には”weave”(織る・紡ぐ)+ “earth”(大地・環境・地球)= 「大地を育むテキスタイル」という想いが込められている。

『「地球」「動物」「人間」のためのより良い選択。ファッションの「サステナブル素材」とは?』でも紹介した通り、ほとんど農薬や水資源を必要としないため比較的環境負荷が低いリネンとヘンプを活用したアイテムが揃う。

ハリと光沢があり柔らかな手触りのヘンプワンピースは、ふんわりとしたボリューミーな袖と裾周りのドレープ感が美しくエレガントな印象だ。前後を変えても着用も可能。

ヘンプデザインスリーブワンピース / weavearth ¥39,600(税込)

繰り返し使う事で、繊維がほぐれていくため、柔らかな使い心地になっていく。そういった経年変化によって愛着が深まっていくことがこの素材の魅力だ。
他にも、プルオーバーやギャザースカートなど良いものを長く大切に着たい大人の女性にぴったりのアイテムが揃っているので是非チェックしてみてほしい。

ヘンプギャザースカート / weavearth ¥28,600(税込)

また、経年変化も楽しめる素材だからこそ、製品の修理・お直し、買取などを行なっているのも嬉しいポイント。さらに、ジェネレーショナル・オーナーシップ・プログラムというメンバーシップ制のサービスも展開しており、修理・お直し費用の一部負担、買取率のアップなどの特典もあるのでチェックしてみて。

買えないセーター?! ReBirth WOOL「MITSUBOSHI 1887(ミツボシ1887)」

ReBirth WOOLとは、三星グループが中心となり使い終わった衣服やその製造工程で出る端材を毛糸に戻す「反毛」という技術を活用したウール再生循環プロジェクト。

【買えないセーター】ReBirth WOOL 7ゲージセーター/ケーブル柄 / MITSUBOSHI 1887 年間 ¥ 11,000(税込)レンタル方式

2022年3月にMITSUBOSHI 1887の製品を購入している消費者などから衣服の提供を募った後、地球にコミットする循環商社「株式会社ECOMMIT」などと協業し回収した衣服の分別・分解を行うイベントを開催。そこで仕分けられたウールを反毛してできたのが、この「買えないセーター Rebirth WOOL」だ。

このセーターは、「買えない」というネーミングが示すように、レンタル(サブスク)方式で提供されている。ウール再生循環プロジェクト ReBirth WOOL の一環として、最終的にウール製品を回収し、新たな形で甦らせることが目的のため、販売ではなくレンタル方式を採用している。

料金は年間10,000円(税別)で、1年ごとの契約更新を最大5年間継続ができる仕組みだ。6年目以降は無料で着用可能だが、着用しなくなった時には必ず MITSUBOSHI 1887 へ返却するよう案内している。

また原料となっているウール素材は、天然のエアコンとも呼ばれる優れた吸放湿性で湿度を調整するため、ムレることなく快適に保つことができる。さらに、自然の撥水効果があるため、多少の雨や雪から身を守れる冬に欠かせないアイテムだ。

この「買えない」セーターは、どれも消費者から回収された衣服や、分別・分解イベントを経て生まれた一点物。そんな唯一無二のアイテムだからこそ、より愛着が湧くはず。あなただけの特別な一着を通じて、日本のウール素材の生産地に残る伝統技法を未来へつなぐ取り組みに参加してみてはどうだろうか。

繊維をほぐして綿状に戻す反毛の工程の様子
不純物を除去し繊維を一定方向に揃えるカーディングの様子

ココナッツウォーターから生まれた永久ではないやさしさの名刺入れ 「never leather(ネバーレザー)」

never lether(ネバーレザー)の製品は、廃棄予定だったココナッツウォーターを使用して作られており、染料を含めてすべての原料が植物由来だ。

名刺入れ/ never lether(ネバーレザー) ¥11,000(税込)

南インド・ケーララ州の小規模ココナッツ農家や加工業者から成熟しすぎて廃棄される予定だったココナッツウォーターを集めて発酵の力でぷるぷるのナタ・デ・ココ状態にした後、バナナの茎や麻などの天然繊維を混ぜることで素材が完成。 Malai社の小規模工場で10名の職人が一枚一枚 手作業で、このココナッツ由来の新素材を製造している。 

never leatherができるまで

動物性の本革と比較すると、耐久年数が2〜3年と短いことがデメリットとしてあげられるが、100%植物由来のためヴィーガンアイテムとして動物に配慮した選択肢を楽しめ、使い終わってもゴミにならず比較的早く土に還せることがメリットだ。

そのため、never lether(ネバーレザー)では、「さよならの作法」という製品の回収サービスも行なっている。自社で回収した製品をコンポストし、3〜4カ月を経て地球にきちんとお返ししてもらえるのも嬉しいポイント。

レザーの代替として一般的に出回っている石油由来の合成皮革を含むプラスチックは、土に還るまで400年以上かかるとも言われている。そんな中で、使い終わった後に製品の一生を数ヶ月で見届けられる自然由来の選択肢として、自分だけでなく大切な人へのプレゼントとしても検討したい。

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Stories behind 代表/鎌倉サステナビリティ研究所 スタッフ
白石 綾
アパレルブランドで販売や商品企画に携わる中で業界の課題を実感。イタリア在住をきっかけに、特に環境問題との関係に強い関心を抱く。2020年にMilano Fashion Instituteでサステナブルファッションを学んで以来、強い当事者意識を持ち、業界の問題解決に向けた活動を続けている。

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