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ブログ|2024.11.29

EUの法規制が変える服作りの未来〜サステナビリティコンサルタント/インフルエンサー・鈴木里奈が考えるエシカルファッションの最前線〜

投資ファンドのコンサルティングとして、企業のサステナビリティ推進をサポートしている鈴木里奈さん。Shift Cの公式アンバサダー「Shift Changers」に就任した彼女は、個人でもSNSやイベントを通してサステナブルファッションについて発信をしている。Z世代の彼女が、ファッションを愛するすべての人が、環境や社会に配慮しながらその楽しさを存分に味わえる未来のために、海外の先進的な事例から、エシカルファッションと法規制がどのように関わるのかを紹介してくれた。

写真:unsplash

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鈴木 里奈
2001年生まれ、東京都出身。青山学院大学在学中、フェアトレードゼミで環境や社会課題に関連する商品の開発に取り組み、サステナビリティを広めるためミス青山として活動。その後、学生キャスターとしてラジオやテレビ東京の経済番組に出演し、ESG経営インタビューを通じて持続可能な社会のための発信に注力。大学卒業後はインパクト/ESG投資のVCファンドでサステナビリティコンサルティングを行う傍ら、一般社団法人IMPACT SHIFTの理事やSNS発信を通じたサステナブルライフスタイルやウェルビーイングにも取り組む。

サステナブルファッションに興味を持ったきっかけ

こんにちは、鈴木里奈です。私は、インパクト/ESG投資ファンドでサステナビリティコンサルタントとして企業のサステナビリティ推進をサポートしながら、一般社団法人IMPACT SHIFTの理事として活動し、SNSやイベントを通じてエシカルファッションについて発信しています。
これまで、ラジオやテレビ番組、SNSでの情報発信をはじめ、フリーマーケットの開催や着られなくなった白い服をタイダイ絞り染めにするプロジェクトなど、さまざまな活動を行ってきました。2024年9月には、Shift Cさんとコラボレーションで 「City Green Fes」 に出品し、サステナブルな服の循環の場を作ってきました。

私がサステナブルファッションに関心を持ったのは、「ファッションを楽しむ自由が将来失われるかもしれない」という危機感がきっかけでした。
大学1年生の頃、私は手頃な価格で欲しいアイテムをすぐに手に入れられるファストファッションの便利さから深く考えずにおしゃれを楽しんでいました。しかし、ある日、SDGsについて発信しているインフルエンサーの投稿を目にし、さらに映画『トゥルーコスト』を観たことで、ファッションの裏側に隠された現実を知りました。
華やかなアパレル業界の背景には、過酷な労働環境で働く人々や、環境に深刻な負荷を与える生産過程があったのです。それは、私が楽しんでいた「おしゃれ」の代償でもありました。この事実に気づいたとき、私は初めて、「私の選択が他の人や地球環境に影響を与えている」と実感しました。
この経験を通じて、私は「服が好きだからこそ、その楽しさを永続的な形で守りたい」と強く思うようになりました。そして、SDGsが掲げる「誰一人取り残さない未来」という理念のように、ファッションにおいても消費者と作り手の双方が持続可能であるべきだと考えるようになったのです。

以来、多くの方にこの視点を届けたいという思いから、SNSでの発信やイベントの企画を通じて、サステナブルファッションの重要性を伝える活動を続けています。
ファッションは単なる衣服ではなく、自己表現の一つであり、私たちの生活に彩りを与える文化です。その楽しさを未来に残すためには、環境や社会に配慮した選択をしていくことが必要だと思います。
今回の記事では、海外の先進的な事例をもとに、エシカルファッションと法規制がどのように関わるのかをご紹介します。

Z世代のファッション選択とその影響

最近、友人との会話でよく出るテーマの一つが、「服はどこで買っている?」という質問です。特に感じるのは、Z世代の多くが「エシカル」や「サステナブル」といった観点を意識し始めていることです。服を購入する際、「この服は環境にどう影響しているのだろう?」と考える機会が増えているように思います。
この価値観の変化は、私たち消費者の行動に留まらず、海外での法規制にも大きな影響を与えています。その代表的な例が、欧州連合(EU)で今年5月に採択された「持続可能な製品のためのエコデザイン規則」です。この規制は、アパレル業界にも影響を及ぼす重要なものとなっています。

「エコデザイン規則」とは何か?

EUでは、2024年5月に「エコデザイン規則(ESPR)」(英語名:「Ecodesign for Sustainable Products Regulation」)が欧州理事会で採択され、売れ残った衣料品や返品された服をそのまま廃棄することが禁止されます。また、廃棄した衣料品の量と理由を毎年報告することが義務づけられます【※1】。
さらに、この規則を実施するためのツールとして「デジタル・プロダクト・パスポート(DPP)」が導入されます。これは、服1点ごとに製造から流通、リサイクルまでの情報を記録したデジタルの「パスポート」のようなものです。これにより、消費者は服の製造過程やリサイクルの状況を知ることができ、環境に配慮した選択がしやすくなります。
例えば、自分が今着ているTシャツはどこでどのように作られて手元に来たのかが一貫してわかるのです。サステナブルな社会を作るための大きな一歩と言えるでしょう。

※1  https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/fiber/pdf/240904-4.pdf p.17,18

エコデザイン規則の影響

毎年、大量の服がゴミとして捨てられているように、ファストファッションは、安くて流行の服を大量に生産しすぐに廃棄してしまうという問題を抱えています。
しかし、上記の「エコデザイン規則」が導入されることで、アパレル業界は服をより持続可能な方法で作ることが求められるようになります。これにより、業界全体が「たくさん作る」よりも「質の良いものを作る」ことに焦点を当てるようになるでしょう。この変化は、消費者にも影響を与え、より環境に配慮した選択が増えることが期待されます。

日本への影響とこれからの展望

EUで始まったこの規則は、今後日本にも影響を与える可能性があります。特に、日本のアパレルブランドが海外に進出する際には、この規則に対応しなければならないからです。また、日本国内でも、このような規則を導入するべきだという議論が進むかもしれません。
さらに、古着やリメイク品の人気が高まっており、この流れが規制によってさらに強まることが期待されます。
これからは「新品を買う」という考え方が少しずつ変わり、もっと環境に配慮した方法で服を選ぶ時代が来るかもしれません。

最後に……私たちにできることは?

こうした規制について考えると、「私たちには何ができるのだろう?」と思うこともあるかもしれません。規制は社会を変える大きな一歩ですが、私たち一人ひとりの日常的な選択が、実は社会全体の変革を促す重要な要素になると感じています。
例えば、今持っている服を大切に着たり、Shift Cのレーティングシステムで自分が持っている服のエシカル度を確認したり、ブランドの「サステナブルな取り組み」をチェックするのもおすすめです。
また、必要なものだけを買うよう心がけたり、古着やセカンドハンドの購入、おさがりをもらうのも手段の一つではないかと思います。そして何よりも、現実で起きている社会課題に興味を持って知ることも第一歩だと感じています。

今後も環境への取り組みが先進的な欧州の動向に着目しつつ、自分の行動が地球環境や社会に与える影響を意識しながら、服を選び、おしゃれを楽しみたいです。
本ブログ記事が、皆さんにとって未来をより良いものにする選択のきっかけとなれば幸いです。

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