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ブラックフライデーとは何か?
ブラックフライデー(Black Friday)は、アメリカの感謝祭(11月第4木曜日)の翌日に行われる、売れ残りのギフト品を売り切るための大規模なセールイベントだ。この日は、家電やファッション、日用品など幅広い商品が値引きされ、オンライン・オフライン問わず、買い物客が集まる。このイベントでの収益が小売業者の帳簿を「赤字」から「黒字」に転換させることから、「黒字の金曜日」という肯定的な意味に転じ、全国的な消費イベントとして定着していった。
日本でも認知が高まっているが、大規模なセールイベントではついつい要らないものを買ってしまうのも事実。ブラックフライデーで購入された商品の約80%が未使用または数回使用されただけで捨てられているという調査もある。
フランスでは2020年から政府が規制を強化し、ブラックフライデーにおける過剰な広告や価格競争を禁止、2023年には、ブラックフライデーに新しい服を買うことを控えようというキャンペーンを通して呼びかけを行った。
短期間に大量の購買行動が集中することで、輸送量が増え、大気汚染やCO2排出量が急増する問題もある。2023年のブラックフライデー期間中には、通常の消費期間に比べて94%増の120万トンものCO2が排出された。これらのデータは、ブラックフライデーが生態系や環境に大きな負荷をかけていることを示している。
さらに、世界的に配送が集中するため、宅配便の配達員の負荷も大きい。ショッピングサイト大手のアマゾンの配達員は昨年、日本を含め30か国以上でブラックフライデー初日かつ世界行動デーである11月24日にストライキを行った。
買わないアクションを提案する「グリーンフライデー」
このような大規模なセールが行われるブラックフライデーの環境負荷を考慮し、あえてその時期に何も買わない、ものをリペアに出すといったサステナブルな消費を促進するムーブメントが「グリーンフライデー」だ。
このムーブメントに賛同する企業の代表は、2011年に「DON’T BUY THIS JACKET(このジャケットを買わないで)」のキャンペーンで話題になったパタゴニアだろう。さらに2016年に同社は、ブラックフライデー当日の売上を環境保護団体に全額寄付している。
日本においてもパタゴニアのように、ブラックフライデーにあえてユニークな取り組みをおこなったり、セール自体を行わないというブランドさえ普通になりつつある。
株式会社リネットが20代から60代の551人を対象に実施した調査では、グリーンフライデーの認知度はまだ1割程度と低いものの、物価高騰を背景に「ものを大切にする」という意識が8割にまで広がっていることが判明。生活者の視点も確実に変わりつつあり、ムーブメントの広がりが期待されている。
グリーンフライデーに積極的な企業
ブラックフライデーのセールが盛り上がる中、過剰消費に「NO」を掲げる企業も増えてきている。そんな中で注目されているのが「グリーンフライデー」。サステナブルな消費を呼びかけるこのムーブメントに賛同するブランドが登場し、環境や社会に配慮した新しい買い物の形を提案している。買うだけでなく、リユースやアップサイクルを楽しむ選択肢も広がってきているのが面白いポイントだ。
リユースアイテムでファッションショーを開催する「メルカリ」
大手フリマアプリのメルカリは、2020年度よりブラックフライデーに対抗する「グリーンフライデープロジェクト」を主催している。2024年は原宿に新オープンしたサステナブルモール「ハラカド」にて大手アパレル関連11社と協力し、リユースやアップサイクルを通じてサステナブルファッションの魅力を体験できるイベントを開催予定。服の物々交換やリペア体験、リユースアイテムを使ったファッションショーが見どころ。イベントは11月22日から24日まで開催される。
ファッションロスをテーマにしたフリーマーケット「FUKU BATON(フク バトン)」
ホワイトプラスが提供する宅配クリーニング「リネット」は、グリーンフライデーの一環として、ファッションロスに向き合うフリーマーケット「FUKU BATON」を11月22日と23日に行う。ファッション感度の高い人気インスタグラマーやモデルの私服を本人から直接ゲットすることができる。他にも、服をきれいな状態で長持ちさせるためのグッズをもらえるチャンスも。
全店舗をクローズし、スワップイベントを行う「フライターグ」
使い古されたトラックの幌やシートベルトなどからクールなバッグをつくるスイスのブランドフライターグは、ブラックフライデーの代替案として恒例の「S.W.A.P.」イベントを11月29日(金)に開催。不要になったフライターグのバッグを他の参加者のものと交換するという、普段はウェブサイト上でしか行われない交換を現実世界で体験できるイベントとなっている。ドリンクや音楽も提供され、リラックスした雰囲気で楽しめるそう。日本国内では以下の4店舗にて参加することができる。
開催店舗(日本国内):
- F-Store Tokyo Ginza(東京・銀座)
- F-Store Tokyo Shibuya(東京・渋谷)
- F-Store Osaka(大阪)
- F-Store Kyoto(京都)
「S.W.A.P.」イベント参加方法
今年は、新しい視点で「グリーンフライデー」を体験してみるのもいいかもしれない。環境や社会に配慮しながら、リユースやアップサイクルを楽しむことで、買い物そのものがもっと特別な時間に。自分にとって必要なものを見直しながら、サステナブルな選択を取り入れてみてはどうだろうか。