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|2024.07.29

楽しみながらサステナビリティを体験する「スマセル サステナブル コミューン」が大阪に今夏誕生 

北加賀屋は、もともとは工業地帯だったが、近年ではアートや文化の発信地として再開発され、アーティストのスタジオやギャラリー、カフェが点在する活気あふれるエリアだ。そんな場所にSMASELL SUSTAINABLE COMMUNE(以下、スマセル サステナブル コミューン)という複合施設ができた。出店ブランドはもちろん、建物自体が環境と社会を考慮した運営となっている。クリエイティビティとサステナビリティをコンセプトとした異色な施設に注目が集まっている。

 

原稿:平井有太

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衣類の廃棄課題に向きあう「スマセル」

北加賀屋はかつて造船業で栄えた、大阪湾に近い埋立地一帯。もともと工場や倉庫の多いエリアで、昨今はアートギャラリーも増えつつあり、文化的賑わいの盛んなところに、その最先端の価値観として「サステナブル」が掲げられた構図だ。

仕掛け人は、繊維ファッション業界の廃棄課題の解決に情熱を燃やす起業家として注目を集めるウィファブリック代表・福屋剛氏。氏はボランティア活動の限界を感じ、ビジネスの成長がそのまま環境改善や社会課題の解決につながるサイクルを生み出すべく、業界の廃棄ロス、労働問題の解消を標榜してサステナブル  アウトレットモール、「スマセル」をつくった。これは最近、環境や生物多様性界隈で語られることが多くなった「ゼブラ企業」の、国内における先端事例の一つとも言える。

「スマセル」内の様子。バス(写真左)は元々ロンドンで実際に走っていたバス。ここではカフェキッチンとして使われている。

その「スマセル」を実店舗化したものが、「スマセル サステナブル コミューン」。鉄工所跡地の廃工場をフルリノベーションし、2024年8月にオープン予定。ファッション、インテリア、コスメ、フード、アート、音楽などさまざまなカテゴリーのサステナブルな商品が並び、楽しみながらSDGsを体験できる集いの場所だ。同テーマ、類似規模の施設は東京でも聞いたことがない。つまり、こここそがサステナブルカルチャー最前線の現場と言って過言でないのだ。

「スマセル サステナブル コミューン」を創り上げたチームとは

トークセッションの登壇者たち(左から井浦新氏、井浦あい氏、ショーン・ウェザースプーン氏、森田美勇人氏、深本南氏、久保嘉男氏)

去る7月19日、「スマセル サステナブル コミューン」のグランドオープニングパーティーが開催された。こういったテーマにありがちなきれいごとや説教臭さを超え、理屈抜きにスタイリッシュなSDGsの門出を祝う関係者、一般来場者で賑わった。

記念すべき一日のスペシャルゲストには井浦新&井浦あい(Kruhi)、森田美勇人(FLATLAND)、ショーン・ウェザースプーンといった多くのファンを持つ著名人ほか、社会起業家/環境アクティビストの深本南氏、「ヨシオクボ」デザイナーの久保嘉男氏という面々が集結。トークイベント中、繰り返しバングラデシュで目の当たりにした膨大な衣服廃棄の現実に言及した久保氏は、BGMEA(バングラデシュの衣類製造業者協会)の発表による、2020年に約900万にまでのぼった失業者数に着目。その原因はコロナ禍における3000億円超の衣料品製造キャンセルということで、「スマセル」との協業でキャンセル品のアップサイクルと、付加価値を付けての日本市場への販売プロジェクト「PHOENIX LAB. PROJECT」を立ち上げ、この日も展示した。

登壇者たちが語った、次世代に残したい価値とは?

サステナブルコスメブランド「Kruhi」井浦新氏と井浦あい氏

オープニングのトークにおいて井浦新氏は、「消費活動がいき過ぎてしまっている現代において、こういった場所が日本や世界の当たり前になればいい」と「スマセル サステナブル コミューン」にエールを送り、取り戻したい事象として「これは実現するとして全世界でいっせいにやらないと意味がない」と前置きをしながら、「携帯電話のない時代」を提案。そうすることで時間に対する価値観が変わり、人間らしさを取り戻し、疲れた時に本当の意味で一人になること、現実から逃げること=精神的な健康が実現できると語った。

夫の井浦氏と、素材からこだわり抜いたサステナブルコスメブランド「Kruhi」を主宰する井浦あい氏は「サステナブルやアップサイクルに出会って、むしろ自分に時間が戻ってきている。一般的にサステナブルやエシカルは価格が高めとされているが、そこにこだわることで、それまで費やしていた無駄な時間や行動をおさえることができ、時間的、精神的ゆとりが生まれた」と語った。

デザイナー兼ヴィンテージコレクター、ショーン・ウェザースプーン氏

数々のビッグブランドとの、当時は珍しかった、ヴィーガンテーマのコラボレーションで知られ、同施設内にショップ「I’m shipshape」を出店するウェザースプーン氏は、活動のルーツには祖父母の存在があったと解説。「食べるものは自分で育てろ」「何でもなるべく、自分でハンドメイドしろ」というメッセージを小さな頃から受けていたことが大きかったと言う。

クリエイションプロジェクト「FLATLAND」森田美勇人氏

音楽活動を長年続け、2021年からはファッション含め多様なクリエイションを行うプロジェクト「FLATLAND」を手がける森田美勇人氏。障がいを持つ方が身近にいた経験から、その方たちの良さを発揮できる場をつくりたいという思いを持ち、縫製面等での協業を進めている。「FLATLAND」設立経緯として語られたのはご自身が、幼少期からまわりに流されて生きてきた感覚もある中で、子どもの頃の純粋な感覚を取り戻したいということだった。

社会起業家、環境活動家 深本南氏

8歳から環境活動家を目指したという、「スマセル サステナブル コミューン」のサステナブルディレクター・深本南氏は、本当は100以上ある中から「自分の『R』を7つ、『My 7 R』を持ちましょう」と提案。それらは例えば「『Renewable』なエネルギー」であり、「使えるのに捨てられるモノの『Rescue』」。さらには「素敵な昔ながらのライフスタイルを取り戻す『Revival』」に、環境活動に取り組むプレイヤーたちに向けた「Respect」や「いいと思ったものを、自分のまわりにすすめる『Recommend』」であるという。

 誰もが知る「Recycle」にしたって、無意識であればただのゴミが、意識するだけで資源になる。そうした「地球ファーストな人の想いがこの場には溢れている。これまでの、素材をたどるごとに深まる眉間のシワとはおさらばして、みんなで笑顔で暮らしましょう」とのメッセージで、会場が和んだ。

 アパレル業界においては、世界で年間3000億着以上の服が廃棄されている。衣服一着を製造するにあたりCO2は約25.5キロ排出され、水は約2,300リットルが消費される。年間約45万トン、一日あたりに換算すれば1,200トンの衣服が焼却または埋め立て処分されている。そんな現実の中、より良い未来をみんなでつくりあげる、ついに「スマセル サステナブル コミューン」がそのスタートラインに立ったのであった。

参照:環境省_サステナブルファッション

SMASELL Sustainable Commune

89()GRAND OPEN!!

営業日:金土日祝(11:00~20:00)

〒559-0011 大阪市住之江区北加賀屋5丁目5-26 

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