ストーリー|2024.07.17

知っておきたいサステナブルファッションのニュース

宇宙衛星からも服のゴミが確認できるというチリのアタカマ砂漠の現状や、私たち消費者が陥っているかもしれない買い物の「ダークパターン」など。気になるニュースをチェック。

翻訳:スパロウ眞奈

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この記事は8 Things to Know in Sustainable Fashion This Juneを日本語訳したものです。

現実を突きつけるランウェイ ーチリ、アタカマ砂漠の廃棄衣類とともに (The Guardian)

毎年60,000トンもの衣類の廃棄物を受け入れるチリ。アタカマ砂漠には廃棄衣料の山が広がり、その量は宇宙の衛星からも確認ができるほどだ。この事実を広めようとチリの環境活動NPOが立ち上がり、「Fashion Revolution」のブラジル支部、同国の広告エージェンシーとタッグを組み、廃棄物の山をランウェイにしたファッションショーを行った。ショーを開催した環境活動NPOの代表であり、廃棄衣料の山から車で5分の場所に住むアンジェラ・アストゥディーヨ氏は「世界の大量消費のしわ寄せが、この集落に集まっている」と述べる。

ショーをデザインしたブラジル出身のスタイリスト、マヤ・ラモス氏は「問題の原因はファッション業界やサプライチェーンだけではありません。自然とふれあうこともなく、必要な量以上の衣類を果てしないスピードで消費し続ける消費者と社会全体の問題なのです。」 と語る。

SHEINの工場労働者が守られない約束の実態についてインタビューに回答(Public Eye)

2021年、SHEINがサステナビリティとサプライヤーへの取り組みについて発表した際に、週75時間以上の違法な長時間労働の横行が発覚したことを受け、2023年夏に工場労働者に対して同社の労働環境の改善に関するインタビューをおこなった。23歳から60歳までの男女合計13人からの回答で露わになったのは、長時間にわたる労働と低賃金は2年前から依然として改善がないということだ。
これに対しSHEINは、「指摘された問題点について確認できていないが、2021年に受けた指摘に関しては真摯に受け止めており、会社として大きな前進をしている」と回答した。

Temu、EU消費者機構が苦情を申し立て (Reuters)

PDD社が運営する中国のファストファッションアプリTemuが、EUのデジタル法に違反している可能性があるとして消費者機構(BEUC)から苦情を申し立てられている。

販売商品がEUの安全基準を満たしているかどうか、消費者に対して報告することを怠っていることが指摘されたほか、消費者が意図していない買い物に誘導させる「ダークパターン」の手法を使っていることも示唆。EUのデジタル法ではショッピングサイトに対して有害コンテンツへの対策を義務付けていることから、Temuが法基準を満たしていないことに対する懸念が広がっている。
同アプリは約1年前にヨーロッパに進出しており、現在EUの月間ユーザー数は7500万人にのぼる。

ファストファッション依存と闘う (Vogue Business)

「なぜこんなにも服を買ってしまうのか? なぜブランドは、私たちの購買意欲をいとも簡単に掻き立てるのか?」
国際環境NGO「Global Evergreening Alliance」のシニアフェロー、ジョセフ・メルツ氏は、気候危機は人間行動の危機でもあるという研究結果を発表し、ファッション業界が「どんな服を作るか」よりも「どれだけたくさん売るのか」によって気候変動を加速させていると主張した。ファッション業界は、総収益の5%から10%を広告宣伝費にあて、新たなトレンド商品の購入を高頻度で促進する。そのようなビジネスモデルが消費者の価値観を麻痺させ、大量消費を助長していることを指摘している。

今年のMETガラ、サステナビリティとの接点はどこに (Elle)

世界各国のセレブリティが参加するファッションの祭典、METガラ。毎年発表されるドレスコードがファッショニスタたちの話題になるなか、今年は「The Garden of Time (時の庭)」をテーマに開催された。自然を連想させるドレスコードに合わせ、環境に思いを馳せたコーディネートに身を包んだセレブリティは残念ながら数えるほどだった。新たな衣装をあつらえず、ヴィンテージに身を包む参加者もごくわずか。もちろんファッションの祭典だけに、アートピースさながらの装いは美しいものだが、スタイルと環境配慮を両立させることで素晴らしい啓蒙ができるだろう。 

「良い」そして「素晴らしい」ブランドのニュース

O My Bagが2023年のサステナビリティハイライト年間レポートを発表

O My Bagが2023年のサステナビリティレポートを発表した。中でも印象的な前進は、商品の58%が船便で発送されたことでCO2削減を達成できたことだ。また、インド・コルカタに拠点を置くNGO「Future Hope」と連携し、路上生活を余儀なくされている子供たちに教育の機会を提供した。 これらの情報は同ブランドが以前までに掲げた目標の最新状況と次年度の目標と共に発表された。 

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