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ストーリー|2024.07.04

大量に買っては捨てる「リニアエコノミー」はもう卒業。「サーキュラーファッション」って何だろう?

サーキュラーファッションは、直線的な「取って、作って、捨てる」モデルを放棄し、生産のループを閉じることを業界に求めるものだ。すべての衣服に対して責任ある製造、使用、および最終処分を含んでいる。
業界にとっては大きな挑戦であり、複雑なテーマのため、ここではサーキュラーファッションの定義、現在の状況、私たち消費者がどのように役割を果たせるかをわかりやすく紹介しよう。

翻訳:スパロウ眞奈

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※この記事はWhat Is Circular Fashion?を日本語訳したものです。

ゴミを生み出さず資源をループさせる「循環」の仕組み

サーキュラーファッションとは、「作るまで」と「使い終わった後」が同等に重要であり、再利用ができ、修理ができ、生分解性があり、リサイクル可能なアイテムをデザインすることで、廃棄物を防ぐことを目的とするシステムだ。
サーキュラーファッションの概念は広く複雑だが、材料ができるだけ長く使用され続ける、ほぼ無限のループを想定している。物がどこから来ているのか、何で作られているのか、誰が作ったのかを知り、私たちの所有物の全体的なライフサイクルに責任を持つことが含まれている。
直線的な経済(リニアエコノミー)は、製品が寿命を迎えた時の解決策が欠けているために過剰な“ゴミ”を生み出し、買っては捨てることを優先する考え方を助長する。そして、常に新しく安価なアイテムを供給するファストファッションビジネスに、莫大な利益をもたらしている。

循環型ファッションの重要なポイント


・使用する材料を減らし、リサイクル可能性を高める
・リサイクル不可能で汚染を引き起こす材料をサプライチェーンに入れない
・衣服の端材から包装材まで、すべてを再利用するために回収する
・収集スキームやリサイクル材料を「新品同様」の状態に戻すために努力する
・避けられない廃棄物を自然に安全に戻す

ラナ・プラザの事故をきっかけに生まれた「サーキュラーファッション」という言葉

サーキュラーファッションという用語は、2014年、ファッション業界をより循環的なモデルへ移行させるために開かれたスウェーデンのセミナーで初めて使われた。
2013年のバングラデシュで起きたラナ・プラザ崩壊事故によって、1,000人以上の労働者が亡くなり、ファストファッションが消費者にとって支持しがたいモデルであることを浮き彫りにした。セミナーから10年が経過し、より持続可能で倫理的、循環型のシステムへのニーズは一層高まっている。サーキュラーファッションの概念は広く浸透し、リサイクル、修理可能性、再利用性を高めたよりサステナブルな衣服生産に、消費者の関心も寄せられている。

2024年の今、ファッション業界の最大の関心事は、「どのようにサーキュラーエコノミーに移行するのか?」ということだ。より少なく買い、アイテムを長く着て、より慎重な選択をするという、私たち「消費者の変化」も欠かせない。

サーキュラーエコノミーの提唱者でもある団体「エレン・マッカーサー財団」はこう述べている。「協力が鍵です。サプライチェーン全体でパートナーと協力し、リーダーからの賛同を得て知識を共有することで、より広範な業界全体の変革の条件を整えることができるのです。進捗の速度と規模を引き上げる時が来ました。」

「サーキュラー」はバズるための用語?!

消費者や企業のサーキュラーエコノミーへの関心が高まるに連れ、他の多くのサステナビリティ関連の用語と同様に、グリーンウォッシングブランドによって利用されることが増えている。

例えば、古着回収スキームはサーキュラーエコノミー実現への貢献として宣伝されているが、多くのブランドが古着の返却に対してショッピング割引を提供することで、直線的な過剰消費モデルを助長しているだけである。
さらに、古着回収スキームの現実は、多くの寄付された衣服が再利用されることなく、グローバルサウスに捨てられているということである。グリーンピースの報告書「Poisoned Gifts」(2022年)は、再利用スキームの透明性の欠如と誠実さの欠如を詳細に報告しており、「これらの輸出された古着や新品の過剰生産された衣服は、ほとんど再利用として報告され記録されているが、実際にはその半数近くがゴミ捨て場、川、または野外で焼却されている」と述べている。

企業がサーキュラーエコノミーの概念をグリーンウォッシングする代表的な例として、ファストファッションブランド「SHEIN」が、繊維廃棄物を減らすことでサーキュラーエコノミーのリーダーになる道を歩んでいると主張しているケースがある。
2023年に、「SHEIN」はソフトウェアサービス「Queen of Raw」と提携して、世界中から余剰在庫の生地を調達し、自社の工場に再配分し、デザインに使用すると発表した。余剰生地からであろうと、新しい衣服を作ることはサーキュラーファッションモデルへの移行を支援するものではない。プレスリリースでは、ファストファッション業界が真にサーキュラーエコノミーがどのようなものかを理解し、そこに到達するためにどれだけの道のりがあるかを示している。

サーキュラーファッションに一歩近づくための法整備

近年、世界中の政府は、ファッション業界を改善することを目的とした法案やガイダンスを提案し始めている。実際、多くの専門家は、法整備が業界をより良いサーキュラーモデルに移行させる唯一の方法であると考えている。

特に欧州連合(EU)は重要な行動を取っている。すでに売れ残った衣類の廃棄を禁止しており、製品の持続可能性と循環性に必要な製品関連情報の共有を可能にする「デジタル製品パスポート」を導入する予定である。情報の開示は、ラベルや包装に義務付けられ、成分材料、製造プロセス、寿命終了時の管理に関する情報が含まれる。

ただし、より厳格で抜本的な立法が世界規模で提案されない限り、ファッション業界を完全なサーキュラーモデルに移行させるために必要な大きな変化は見られないだろう。

ファッションにサーキュラーアプローチを取り入れるヒント

法整備はビジネス規模でサーキュラーエコノミーを推進するのに役立つ一方で、消費者も個人レベルでサーキュラーファッションを実践する上で重要な役割を果たしている。
多くのブランドがリサイクルプログラムを提供し、自治体が繊維リサイクルを導入し、古着屋が豊富にあるため、衣服を埋立地に送ることを避け、新しい衣服の購入を減らし、すでに所有しているものを保存するための方法はたくさんある。

循環型ファッションに合わせるためにできること
・よりエシカルでサステナブルなファッションをサポートする。
・「Shift C」のディレクトリを使って、購入するブランドについてもっと学ぶ。
ファッションの5R(Reduce、Reuse、Recycle、Repair、Rent)を実践する。
少なく買い、より良いものを買う。
新しいものを買う前にワードローブを見直す
可能な限り古着を購入する。
・服をレンタルすることを検討する。
・服の交換会を開催し、参加する。
服を大切に扱う。
・衣服を捨てる前に「他の選択肢は何か?」を考える。
・信頼できるプログラムを通じて衣服をリサイクルし、捨てないようにする。
・新しい衣服を購入する際には、より持続可能な素材を選ぶ
・サーキュラーファッションの利点について人々と話す。
・ブランドに対して、サーキュラーモデルに移行するよう呼びかける。
・サーキュラーモデルに合わないブランドを購入しないことを誓う。
・衣服がどこでどのように作られているかの重要性について学び続ける。

サーキュラーファッションの概念は、買っては捨てるリニアエコノミーに慣れた私たちを立ち止まらせ、知ることの大切さや多くの気づきをもたらした。
ファッションにおいて完全にサーキュラーモデルに到達するにはまだ長い道のりがあるが、より多くのブランドと消費者がそれに向かい、政府が法整備することで、正しい方向に一歩踏み出している。

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