• トップ
  • Learning
  • 新しい服が欲しくなる季節。服を手放すときのベストな方法とは?

エディターズコラム|2024.04.17

新しい服が欲しくなる季節。服を手放すときのベストな方法とは?

引っ越しや衣替え、そして新しい服が欲しくなったりと「服を手放す」シチュエーションが増える春。単にゴミ箱に入れるのではなく、服に第二の人生を与えるにはどうすればいい? そんな時すぐにチェックしたい、ずっと使える「手放し方チャート」を紹介。

Share :
  • URLをコピーしました

また季節が進み、着たい服が変わりますね。

おそらく、本サイトのユーザーであるサステナブルファッション関心or実践班のみなさんには当たり前かもしれませんが、ファッションの負荷を減らすにはまず手持ちの服を大切に長く着ることが大切です。とはいえ、スッキリと片付いているのに気分が上がるクローゼットを作り、かつそれを維持していくには、ある程度の新陳代謝(新たに迎える服と手放す服)が必要なのも事実。今回は、どうしたら上手に服を手放せるのかを考えていきたいと思います。

その前に、少し耳が痛いかもしれませんが、現在の服の生産と廃棄の事情を少しお伝えします。

日本では年間75万トンの服が家庭から手放されている

年間に生産される衣類の数は人口の増加率をゆうに上回り、2000年から2014年の間倍以上に増え、2014年には1,000億着を超えました。 今でも生産量は増え続けており、2030年までの間も、年間2.7%増えていくことが予測されています。そして生産量が倍増した2000年から2014年の間には、人々が服を所有する期間は半分になったというデータもあります。つまり、服を着る体は変わらずひとつなのに、今、わたしたちは20年前よりもかなり頻繁に、服を買っては何らかの形で手放しているということです。

その結果、環境省の調査によると、日本では一般家庭から1年間に約75万トンの衣類が手放されており、そのうち66%が焼却・埋め立て、19%がリユース、15%がリサイクルされています

手放された衣服の大半を占める66%は、ゴミとして出され、ゴミと一緒に燃やされるか埋立地に辿り着きます。

19%を占めるリユースは、日本国内で再利用されているものもあれば国外へ輸出されるものも。良い状態で手放された服が次の持ち主に渡って第2の人生を歩むのは、資源の有効な活用方法です。(筆者は、メルカリで売れたりして次の持ち主にうまく繋げた場合は、心の中でガッツポーズ。お金も入るし一石二鳥。)しかし昨今、前述した生産量増加に伴って、リユースでも問題が起きています。手放された服がグローバルサウスの国々に輸出されることが多くありますが、その場合古着が適切に処理されず、砂漠や河川・海に投棄されたり、現地の服飾産業に悪影響を与えたりしている様子が報道され、問題視されています。

そして15%あるリサイクルは、ウエスといって工場で機械などを手入れするための布や、防音材になるものが大半です。ウエスや防音材ではなく、また服を作ればいいのでは?と思われるかもしれませんが、今のところ、残念ながらそう簡単に行かないのが現状です。というのも、現在出回っている服の多くがコットン、ポリエステルなど複数の繊維が混ざった「混紡繊維」だからです(今着ている服のおそらく左下裏側、品質表示タグを見てみてください。コットン80% ポリエステル20%など、複数の繊維が混じっている可能性が高いです)。現段階では混紡繊維を分離して各々をリサイクルする技術が確立していないため、古着を再度繊維に戻し、衣服としてリサイクルできるのは、世界的にみてまだ1%未満となっています。明るいニュースとして、この分野では2024年現在技術革新が相次いでおり、国内外のベンチャーや行政が力を入れているところです。混紡繊維のリサイクル技術が確立し、十分な量を処理できるようになり商用化されるのが楽しみです。

服を手放したくなったときに見る「チャート」

自分の手を離れたからといって地上から「消える」わけではない服を

1. なるべく環境に負荷をかけないで

2. できれば誰かの得や幸せにつながって

3. 面倒臭すぎなく現実的に

手放すにはどうしたら良いのでしょうか?

こちらに、服を手放す時にぜひ見ていただきたいチャートがあります。unistepsのメンバーが議論を元に作成したもので、手前味噌ですが、手放したいタイミングで想定されるいろいろなシチュエーションで、できれば実行したいことがよくまとまっていると思います。

最後は「服のリサイクルに成功!」または「服の延命に成功!」に辿り着くのがいいですよね。チャートに出てくる行動の中で、筆者がよく利用するサービスを以下にあげておきます。

回収BOX
BRING
PASSTO
・自治体回収

中古品販売店
RAGTAG
・二次流通アプリ(メルカリなど)で自分で販売

お直し
・こだわりのお直しがしたい場合はSARTO
・普段着は自分or近所のお直し屋さん

専用洗剤
ウタマロ
・各種シミ専用のプロダクトをネットで物色

染め直し
・近所に偶然染め屋さんがありお願いする
京都紋付で黒染め

より良い手放し方や延命の仕方を考えるとき、少し執念に近いものを感じるのは私だけでしょうか。ゴミ箱に入れたって、誰にも責められません。でも、自分の納得感のため、服を渡した友人に喜んでもらうため、見てみたい世界に一歩近づき、回収やお直しなど、循環経済を現実のものにするために奮闘するイノベーターたちをサポートするため、ゴミ箱は最後の手段としてジタバタしたくなるのです。

なお、うすうす気づかれたかもしれませんが、上手に服を手放すには「次に繋げられるよう質の良いものである」「混紡ではなく、リサイクル可能な単一素材である」など、既に服を手にいれる時点に決まってしまった要素も多くあります。より良い服の手放し方は、実はお買い物時点から始まっているのです(名言!?)。次、新しい服をお迎えする時には、手放す時のことも考えながら選ぶのもいいかもしれませんね。

ーーー

本記事は日本のユーザーの方のために、「多様で、健康的なファッション産業をつくる」ことをミッションに活動する一般社団法人unistepsが執筆しています。写真:unsplash

Share :
  • URLをコピーしました

Learning他の記事を読む

絞り込み検索