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ニュース|2026.10.27

モーグル日本代表のウェアがバッグに生まれ変わる。ゴールドウインの循環型プロジェクト「サーキュラーアクション」が始動

モーグル日本代表のユニフォーム約20着が、ゴールドウインの循環型企画第1弾として約70点のバッグや小物に生まれ変わった。10月14日に開催された発表会には堀島行真選手が登壇し、雪不足に直面する競技の現状や、役目を終えたウエアを再生する取り組みについて語った。

原稿:藤井由香里

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雪不足でワールドカップが中止に。堀島行真選手が語る競技の現実

プロジェクトの背景にあるのは、気候変動がもたらす雪不足。昨シーズンには米ユタ州のワールドカップが雪不足でキャンセルされ、堀島選手は予定より2試合少ない5試合のまま、ミラノ・コルティナオリンピックに臨むことになったという。

堀島行真選手(日本のフリースタイルスキー・モーグル)2大会連続男子モーグルで銅メダル。オリンピック初実施の新種目・デュアルモーグルでは銀メダル。日本男子モーグル史上に新たな1ページを刻んだ。

「10年前、20年前には考えられなかった環境。滑れると想定していても、滑れない状況が起こりやすくなっている」と堀島選手。さらに、温暖化が進めば「10年、20年後には冬季オリンピックを開催できる都市は5都市ほどになると言われている」と語る。室内スキー場やスキー場の”スタジアム化”が突破口になる可能性にも触れ、「企業や個人の環境への取り組みは、雪を守ることにつながるアクション」と続けた。

スキーを起源とするゴールドウインにとっても、競技環境の変化は重要なテーマだ。同社は2030年の自社廃棄ゼロを掲げ、裁断時の端材など年間10.5トン(2023年度)あった廃棄物を2025年には約半分まで削減。その先の取り組みの一つが、今回のアップサイクルだ。

代表ウエア約20着が全7型・約70点に。思い出の音も再生

ゴールドウインは、2018-19シーズンからモーグル日本代表ウエアを提供してきた。今回回収したのは、選手たちが大会や練習で実際に着用した約20着。

トートバッグやサコッシュ、ヘルメットケースなど、全7型・約70点のアイテムへと再生した。フードをはじめ、ウエアの各パーツを可能な限り活用し、壊れた箇所もあえてそのまま残している。元のウエアの特徴を活かした、すべて一点もののアイテムだ。


2013年に初めてナショナルチーム入りした堀島選手にとって、「JAPAN」の入ったウエアは「夏のトレーニングの成果を冬に出すために、誇りを持って着るもの」だったという。ビッグトートの留め具には、ウエアの裾から雪の侵入を防ぐ「パウダーガード」をそのまま使用した。

「スキーウエアを着て外に出るとき、勝負しに行くときに、これ(パウダーガード)を閉めるんです。僕らが長年聞いてきたこのクリック音が、すごく好きで。それを思い出せる製品になったのが嬉しいですね」(堀島選手)


誰が着用していたウエアなのかは公表されていないが、それぞれに残る特徴や使用の痕跡から、かつての持ち主に思いを巡らせる楽しみもある。大会や練習で選手たちと時間をともにしてきたウエアが、形を変えて新たな持ち主へと受け継がれていく。そんな背景も、一点もののアイテムならではの魅力だ。

売上の一部をSAJへ寄付。買うことが選手の支援につながる

今回のプロジェクトで循環するのは、モノだけではない。アップサイクル製品の売上の一部は、公益財団法人全日本スキー・スノーボード連盟(SAJ)に寄付され、アスリートの活動支援に充てられる予定だ。

「選手強化のベースは国の補助金で、それ以外の活動費の大半は個人の支出から出ているのが現実。資金が増えるほど環境は良くなっていく」と堀島選手。選手たちが着用していたウエアを新たな製品として販売し、その収益の一部を選手の活動に還元する。ファンにとっても、商品を購入することが応援につながる仕組みだ。

一方、資源の循環という点でも、ゴールドウインは環境負荷を抑える方法を模索している。今回の取り組みは、環境負荷の段階を示すオランダ発の「Rのはしご」を参考に、「リサイクル」ではなく、より負荷の低い「リマニュファクチャー(再製造)」と位置づけている。回収・運搬・選別などの工程でも環境負荷が生じることを踏まえ、既存の素材やパーツを可能な限り活かしながら、新たな製品へと作り直す試みだ。

DPPで再生前の姿もわかる。二次元バーコードに宿る来歴

もうひとつの注目点が、デジタルプロダクトパスポート(DPP)の導入だ。製品の起源・構成・環境負荷・修理履歴などの情報をデジタル上で一元管理し、ユーザーやメーカー、修理・リサイクル事業者の間で共有する仕組みで、EUでは2028〜29年ごろをめどに、繊維業界への義務化が見込まれている。


今回の製品では、タグの二次元バーコードをスマートフォンで読み取ると、アップサイクル前の製品情報や再生の背景、CO2排出量、ケア方法、リペア窓口を確認できる。デザインだけでなく、ものづくりの背景も知ったうえで選べるのが魅力だ。


一方、担当者によれば「ウェブサイトを作ることより、裏側のデータを集めるほうがはるかに大変」だという。原料から製造、輸送、使用、廃棄までのCO2を算定するライフサイクルアセスメントを、全商品に広げるには相当な作業が必要だ。それでもゴールドウインは、Jリーグ・カターレ富山のユニフォームや富山マラソンのウエアにもDPPを導入し、知見を積み重ねている。

選ぶことから始まる循環。堀島選手が伝えたいこと

「この取り組みをきっかけに、僕やチームジャパンを応援してくださる方が、環境への取り組みにも興味を持ってくれたら嬉しいですね。一人でもそういう方が増えて、アップサイクルの商品を手に取って、長く使ってもらえたら。それがスポーツの価値を高めることにもつながると思います」(堀島選手)

製品は10月15~25日の期間、数量限定販売。選手たちが大切に着用してきたウエアが、新たな持ち主へと受け継がれ、その売上の一部がアスリートの活動支援につながる。ファッションを通じて、堀島選手をはじめとする日本代表の挑戦を応援できるのも、今回のプロジェクトの魅力だ。

次の買い物では、デザインや価格だけでなく、製品の背景やその先に生まれるつながりにも目を向けてみてはいかがだろうか。


■Goldwin Circular Action特設サイト:https://jp.goldwin.global/pages/feature-circular-action/

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ライター/エディター
藤井由香里
ファッションメディアのライター/エディター、アパレル業界での経験を経て、2022年に独立。現在は、ファッション、美容、カルチャー、サステナビリティを中心に執筆・編集を手がける。Webや紙媒体のコンテンツ制作に加え、広告制作、コピーライティング、翻訳編集など、多岐にわたるプロジェクトに携わる。

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