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歴史や文化、豊かな自然が息づく、くるりの地元・京都。『京都音楽博覧会』(以下、京都音博)は、この地で、世代を問わずさまざまな音楽に触れ、思い思いに楽しめる場を育んできた。音楽への思いとともに、開催当初から大切にしているのが「環境」への取り組みだ。会場となる梅小路公園の芝生を守り、ごみを減らすなど、音楽を楽しむ場所の環境にも目を向けてきた。
その思いが、地域のまちづくりと結びついて生まれたのが「資源が“くるり”プロジェクト」だ。きっかけは、梅小路のまちづくりに携わる足立毅さんと、くるりの岸田繁さんとの出会い。2022年、公園内にコンポストを設け、会場で出る食べ残しや余った食材を完熟たい肥に変え、公園に還す活動が始まった。回を重ねるごとに参加者が増え、活動の裾野も広がってきた。(昨年の取り組みはこちらから)

そして昨年、京都音博の環境への取り組みに共感したUPDATERが展開する「みんな電力」がイベントのカーボン・オフセットに協力。このつながりから、今年はこのプロジェクトの運営もサポートすることになった。新たな仲間が加わった今年も、準備は変わらず地域をめぐるところから。完熟たい肥づくりの土台となる「基材」の材料を集めに向かった。
完熟たい肥づくりの第一歩は材料集めから
例えば、ぬか漬けをつくるには、まず「ぬか床」が必要だ。そこに野菜などを漬け込むと、微生物の働きでおいしいぬか漬けになる。今回のたい肥づくりも、まずは生ごみを分解してたい肥にしてくれる微生物のために「土台」を用意する。それが「基材」だ。今回、基材に使うのは、もみがら、米ぬか、落ち葉、壁土の4つ。それぞれ異なる役割を持つ素材を混ぜ合わせ、微生物が働きやすい環境を整えるのだ。
ここでも、地域で生まれる副産物や不要になったものをできるだけ活用しようと、京都各地に声をかけた。米ぬかは伏見区の酒蔵から、もみがらは大原の農家から譲り受け、落ち葉は梅小路公園のものを活用。今年は、プロジェクト開始当初から参加するボランティアの方を通じて、知り合いの古い家屋から廃棄される壁土を活用できないかという提案もあり、基材の材料として使うことになった。活動を続けるなかで、身近なものを資源として見直す気づきが生まれ、新たな循環につながっている。

学んで、混ぜて。微生物が働く環境を整える
材料がそろったところで開かれたのが、基材づくりのワークショップだ。この日は、子どもから大人まで約30名が集まった。講師を務めるのは、株式会社土踏まず舎の鴨志田純さん。「資源が“くるり”プロジェクト」の開始当初から、コンポスト・アドバイザーとして完熟たい肥づくりを支えてきた。作業に先立つレクチャーで鴨志田さんが伝えたのは、適切な技術があれば、ごみも資源として循環させられるということ。捨てればすむ便利な世の中だからこそ、身近なものを資源として見立て、生かせる人を育てることが大切だと語った。
会場で出る生ごみも、たい肥づくりの技術を生かせば、公園の草花を育てる肥料になる。そのために必要なのが、微生物の働きを知り、分解・発酵しやすい環境を整えることだ。レクチャーを終えた参加者は、コンポスト・ステーションへ。集めた素材を決められた割合で量り、混ぜ合わせ、水分を調整していく。それぞれの作業の意味を学んだうえで、実際に手を動かす。こうして、生ごみを受け入れるための基材をみんなで仕込んだ。開催まで、何度か混ぜ返す「切り返し」を行いながら、状態を整えていく。

都市公園のコンポストがつなぐ、学びの輪
梅小路公園の一角にあるコンポスト・ステーション。都市公園というシチュエーションもあり、この日もさまざまな人が参加していた。集まった人々は、何をきっかけにここを訪れ、どんな学びを持ち帰ったのだろうか。
自宅でもコンポストに取り組んでいるという女性。たい肥づくりのヒントになればと、家族3人で参加したという。普段はなかなか土に触れる機会がないため、子どもが楽しそうに基材づくりに参加する姿を見て、来てよかったと笑顔で伝えてくれた。
園での取り組みに生かそうと初めて参加した幼稚園の先生。園では、食べ残しなどが植物の栄養となり、再び食につながる循環を、子どもたちに伝える活動をしているが、たい肥づくりが思うようにいかないことがあったという。今回は材料を正確に量る大切さに気づき、作り方を学べたこともありがたかったと話してくれた。
学内でコンポストに取り組む立命館大学のサークル「Uni-Com(ユニコーン)」の学生は、さまざまな立場の人と、食や廃棄の問題について話しながら作業できることに魅力を感じていた。楽しさに加え、自分たちの活動の意味を理解することが、続けていく力になるとも話す。
先輩からつながりを引き継ぎ、昨年に続いて取材に訪れた同志社大学広告研究会の学生にも、新たな思いが芽生えていた。他大学の活動に刺激を受け、自分の大学でもコンポストに取り組んでみたいと考えているという。
一緒に手を動かす時間は、日頃の疑問を相談し、互いの活動を知る機会にもなる。ここで得た学びや刺激が、それぞれの暮らしや活動の場で生かされ、循環の輪を広げていく。


育ててきた循環に、今年はあかりが灯る
こうして、今年のたい肥づくりに向けた準備が進む一方、これまでにつくった完熟たい肥にも、新たな出番が訪れる。それが、今年初めて取り組む「コンポスト発電」だ。この取り組みをともに進めるのが、SOIL MATEとして活動する高砂さん親子。下北沢での活動を通じてUPDATERとつながり、今回の京都音博への参加に至ったという。

ごみを減らすために取り組んできたコンポストから、小さな電気も得られる。その発見には、大きな驚きと楽しさがあったという高砂さん。日々向き合うコンポストは、今では家族のような存在だ。そこに入れる野菜くずも、もはやごみとは感じられず、すべてが生かされていくことに喜びを感じているそうだ。高砂さん親子が大切にしているのは、循環の中から少し分けてもらうように、小さな電気も大事に使うこと。そして来場者には、ぜひ実際のあかりを見てほしいと話す。
普段は目に見えないコンポストの中の働きに、あかりを通して触れる。その体験を通じて、資源の循環もより身近に感じられるのではないだろうか。これまでにつくったたい肥からあかりが灯る様子は、身近なものを捨てる前に、少し立ち止まって考えるきっかけになるかもしれない。
京都音博で偶然出会った音楽に心を動かされるように、この小さなあかりとの出会いから、新しい関心が生まれることもあるだろう。音楽を楽しむ合間に、「資源が“くるり”プロジェクト」のブースにも立ち寄ってみてほしい。
【当日のブース】
会場内のブースは「ステージエリア」と「物販エリア」の2カ所。「資源が“くるり”プロジェクト Powered by UPDATER,Inc」の看板が目印だ。「ステージエリア」では、コンポスト発電の様子を直接見ることができる。 また、「物販エリア(緑の館前)」では、コンポスト発電の展示のほか、以下のお楽しみを準備している。
- 資源がくるりスタンプ
- I’m UPDATER 会員登録で「限定ステッカー」プレゼント!
- その場で当たる抽選会でロゴ入り「温泉タオル」をプレゼント!
※スタンプ・ステッカー・タオルのお渡しは物販エリア限定となる。当日限定・数量限定のため、無くなり次第終了。