• トップ
  • Learning
  • 環境省「サステナブルファッション・パートナー制度」が始動。家庭の衣服廃棄量25%削減へ121団体が集結

ニュース|2026.10.15

環境省「サステナブルファッション・パートナー制度」が始動。家庭の衣服廃棄量25%削減へ121団体が集結

2026年10月5日、環境省による「サステナブルファッション・パートナー制度」が始動した。アパレルブランド、資源循環事業者、自治体、繊維メーカー、商社など121団体が参加し、 2030年度までに家庭での衣服廃棄量を25%削減することを目指して、企業の垣根を越えて連携していく。

原稿:上杉沙樹

Share :
  • URLをコピーしました

「衣替え」を機に服を大切に着る習慣とリユース・リサイクルを全国へ広げる試み 

日本国内では年間約50万トンの衣服が廃棄されており、これは毎日大型トラック約130台分に相当する規模だ。家庭から手放される衣類の多くが焼却や埋立処理されており、製造から廃棄に至る環境負荷の低減は待ったなしの課題となっている。

これを受け政府は、家庭から廃棄される衣料品量を2030年度までに25%削減(2020年度比)する具体的なアクションプランを、2026年3月に策定した。このプランを実行に移すべく始動したのが、今回の「サステナブルファッション・キャンペーン」である。

本キャンペーンの核となるのは、「質の良い服を長く大切に着る」「衣服を資源として次の世代や人・物へつなぐ」という意識の醸成だ。単なる節約や消費抑制にとどまらず、服への愛着を育むことで新たな価値を生み出し、日本のファッション産業全体を「環境負荷低減モデル」へと進化させる狙いがある。

このムーブメントを全国へ波及させるため、環境省・経済産業省・消費者庁が共同で「サステナブルファッション・パートナー」制度を創設した。すでに121もの企業・団体・自治体が参画しており、年1回の総会開催や相互連携を通じて、生活者の「使えるものは長く使う」需要喚起と行動変容を強力に推進していく。目標とする25%削減のうち、実に4万トン分はこうした生活者の意識改革と行動促進が担う計算だ。官民の垣根を超えた一大協調体制のもと、持続可能なファッション文化の定着に向けた歩みが始まっている。

今秋からは、本キャンペーンの主要キーワードである「衣替え」と連動した呼びかけを開始する。さらに2027年5月頃には春の衣替えに合わせた全国一斉イベントを展開し、同年7月末からは「GREEN×EXPO 2027(横浜)」においてこれまでの成果を集約した展示を行う予定だ。

高市政権が掲げる日本成長戦略においても繊維産業は重要なテーマとされている。国内で廃棄される衣料品の約7割を占める複合素材繊維の分離・リサイクル技術の開発や、製品のトレーサビリティ推進を急ぐ方針だ。

キャッチコピーは「ころもがえのこころがけ」|日本特有の文化を未来のアクションへ

キャッチコピーを掲げる環境大臣の笹川博義氏。循環型社会の構築や再生資源の価値化を国としての重要課題と位置づけ、サステナブルな取り組みをしっかりとビジネスへつなげていく重要性を強調した。

6月から一般公募されていたキャンペーンの公式キャッチコピーとロゴも初公開された。一般募集から選ばれたキャッチコピーは「ころもがえのこころがけ」である。

キャンペーンロゴ・コピーのアドバイザーを務めた砥川直大氏は、衣替えは日本特有の豊かな文化であると意見がまとまったこと、またあえて「サステナブル」や「リサイクル」といった言葉を使わず、「心がけ」という一人ひとりの服との接点に立ち返る言葉を選んだという。年に2回、クローゼットに向き合うタイミングで服との付き合い方を見直すきっかけにしてほしいという想いが込められている。

121団体の総会で見えた取り組みの最前線

パートナー会員121団体の内訳は、企業89社、団体26団体、自治体5団体、その他団体。企業が7割超を占める民間主導の枠組みのもと、総会では当日のピッチを通じて、業種を越えた連携の具体例が次々と紹介された。

ブランド自らが回収・リユースの主体に

これまで「売って終わり」だったアパレルブランドや百貨店が、売った後の衣類にまで責任を持つ時代が始まっている。ブランド自身が回収からリユースまでを手がける事例が相次いで紹介された。

オンワード樫山は2009年から独自の衣料品循環システムを稼働させている。回収した衣類の選別や再生作業を、最終処理を除き自社社員が担う内製化が特徴だ。まだ着られるものは、2014年に吉祥寺に開いた直営リユース店「オンワード・リユースパーク」で次の顧客へ届ける。リサイクル品は再生糸の毛布として、日本赤十字社を通じて被災地や途上国へ寄贈されてきた。

大丸松坂屋百貨店の衣類回収は今年で10年目。「販売」一辺倒の百貨店モデルに対し、ファッションサブスク「アナザーアドレス」で「売らない」選択肢を提示。着なくなった思い出の服を寄付として預かり、デザイナーと共にアップサイクルして再びシェアする取り組みも進めている。

団体連携でDPP・リサイクル・回収を前へ

欧州で制度化が進むDPP(デジタル・プロダクト・パスポート)は、製品の原材料や環境負荷をデジタルで追跡・開示する仕組みだ。この総会でも対応を見据えた動きが示された。

「テキスタイル情報流通プラットフォーム」は、経済産業省主導の産官学連携「サーキュラーパートナーズ」から生まれた取り組みだ。衣服1着ごとに固有のQRコードを付与し、製品情報から作り手のストーリーまでを集約。認証対応の効率化をはじめ、環境配慮設計の促進や二次流通における価値向上を目指す。 

10月1日に帝人フロンティアと旭化成アドバンスが統合して発足したTAフロンティアは、倉敷紡績、東レ、日清紡テキスタイル、日本毛織、地球環境産業技術研究機構(RITE)とともに「CFT2」コンソーシアムを設立。衣料の7割以上を占める混紡素材の壁に対し、AI分別とバイオ技術による繊維の分離で全量資源化を目指す。NEDOの委託事業として採択されたこの取り組みが実を結べば、回収衣料の「素材としての出口」が大きく広がる。 

企業間・産官学の連携は回収の入口にも広がっている。ジャパンサステナブルファッションアライアンスは7月、加盟企業のリペア・買取・回収が可能な拠点を横断検索できるページを公開。経済産業省と環境省もパブリックパートナーとして参加するこの枠組みには、47都道府県すべてをカバーする、2,585拠点の情報が集約されている。

「捨てさせない」より「出しやすく」|自治体と組む回収の設計

もうひとつの軸は、自治体と連携した回収スキームだ。

大阪府豊中市では、市民環境会議「アジェンダ21」と市役所などが連携し、回収した子ども服を必要とする家庭へ配布する「おゆずりぐるり」という取り組みを展開。環境省のモデル事業にも採択されたこの取り組みでは、半年間に市内で約2万3000枚の子ども服が回収・配布され、リユース率は約97%に達したという。 

京都では古着屋が主導する「循環フェス」が10回目を迎え、市内約200カ所の回収ボックスで集めた服を「ゼロ円マーケット」として次の使い手へ渡す仕組みが定着。名古屋市も昨年からこの形式を導入し、約10万人が来場するイベントに育っている。

「回収」が合言葉になった初回総会

閉会の挨拶に立った環境省 環境再生・資源循環局次長の熊倉基之氏は、「今日一日聞いていてキーワードは『回収』」と述べ、いかに効率よく必要な量を回収していくか、その仕組みづくりに政府として取り組む意向を示した。

個社では届かなかった回収網、情報の基盤、素材の技術が、「パートナー」という枠組みで初めて同じテーブルに並んだ。秋の衣替えはまもなく本番を迎える。キャッチコピー「ころもがえのこころがけ」が示すように、今年の衣替えが「手放す」と「つなぐ」を考える最初の機会になりそうだ。

Share :
  • URLをコピーしました

Ranking ウィークリーランキング (2026.10.09〜10.16)

Instagram Follow us