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Shift Cの評価について
各ブランドの下に表示されている評価は、サステナビリティ評価機関「Good On You」と連携した基準によるもの。「地球」「人間」「動物」の3つの軸から最大1,000項目のチェックポイントを用いて、ブランドの公開情報をもとに評価している。総合評価は5段階で、「素晴らしい」は、すべての軸で業界をリードするブランド、「良い」は複数の領域で先進的な取り組みを行うブランド、「ここから」は少なくとも1つの観点で優れた取り組みが認められたブランドを指す。
Shift Cで高評価された、シューズブランド12選
では、実際にShift Cで「ここから」以上の評価を獲得したブランドを見ていこう。フェアトレードを貫くブランドから、ゼロカーボンに挑む一足、誰もが知る定番スニーカーまで。シューズの選択肢は、いま大きく広がっている。
| ブランド | 主カテゴリ | 強み | 評価 |
|---|---|---|---|
| ヴェジャ(VEJA) | スニーカー | フェアトレードを軸にした調達と広告費を抑えて生産者へ還元する仕組み | 良い |
| コンバース(Converse) | スニーカー | 100年続くデザインを低負荷素材やサプライチェーン管理で責任ある方法へ | ここから |
| ヴァンズ(Vans) | スニーカー | 水使用量・温室効果ガスの削減方針と労働環境・動物福祉に配慮した生産背景 | ここから |
| カンペール(CAMPER) | シューズ全般 | 独創的なデザインとリサイクル素材やLWG認証レザーなど循環する素材選び | ここから |
| ニューバランス(New Balance) | スニーカー | 認証工場での生産と生活賃金保証、設計段階からの循環性トレーニングの実施 | ここから |
| ノヴェスタ(NOVESTA) | スニーカー | スロバキアの自社工場による丈夫なバルカナイズ製法と端材再利用のものづくり | ここから |
| ホカ(HOKA) | ランニングシューズ | 厚底の機能性と製造過程における有害化学物質の最小化・排除への取り組み | ここから |
| サロモン(Salomon) | アウトドアシューズ | リサイクル可能なランニングシューズ「INDEX」シリーズをはじめとする循環設計 | ここから |
| オールバーズ(Allbirds) | スニーカー | 全製品のカーボンフットプリント表示とネット・ゼロカーボンの一足および製法公開 | ここから |
| ティンバーランド(Timberland) | ブーツ・スニーカー | 製品回収プログラム「Timberloop」と2030年に向けた完全循環型デザインへの挑戦 | ここから |
| アグ(UGG) | ブーツ | ミュールジングフリーウール調達と製造過程の有害化学物質排除目標の設定 | ここから |
| クロックス(Crocs) | サンダル・クロッグ | 全製品のヴィーガン化完了(動物部門5/5)と植物由来バイオ循環型素材への移行 | ここから |
生産者との公正な関係から、スニーカーの背景を変える「ヴェジャ(VEJA)」
Shift C評価:良い

2004年にパリで誕生したヴェジャ。ブランド名はポルトガル語で「見る」を意味し、生産背景を見つめる姿勢が名前にも表れている。アマゾンの天然ゴムや、農家組合から直接購入するオーガニックコットン、ペットボトルを再生したメッシュ素材を取り入れている。
特徴的なのは、フェアトレードを軸にした調達の仕組みだ。ブラジルとペルーの生産者とは2年契約を結び、事前に決めた価格で綿花を買い取っている。2024年には、市場価格の約3倍にあたる価格で購入した。一般的なスニーカーブランドが多額の広告宣伝費をかける一方、ヴェジャは広告費をほとんどかけず、その分を生産者と労働者へ還元している。
こうした生産者との関係づくりに加え、ほぼ全サプライチェーンを追跡している。最終生産段階での生活賃金の保証や、サプライヤーへの定期訪問も評価され、Shift Cの「人間」部門では最高評価の「素晴らしい(5/5)」を獲得。総合評価も「良い」となっている。
100年続く定番に、長く履く価値を重ねる「コンバース(Converse)」
Shift C評価:ここから
1908年に創業したコンバース。チャックテイラーに代表されるキャンバススニーカーは、100年以上にわたり世界中で履き継がれてきた。流行に左右されにくいシンプルなデザインも、ブランドの大きな強みだ。現在はナイキグループの一員として、グループのサステナビリティ基盤を共有している。
環境面では、リサイクル素材を含む負荷の低い素材を取り入れ、布地の切れ端も再利用。科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標を設定したほか、サプライチェーン全体の水使用量を減らす絶対目標も掲げる。
さらに、生産背景にも目を向け、最終生産の大部分を低リスク国または認証施設で行っている。国際労働機関(以下、ILO)の原則を網羅した行動規範も整備。こうした環境と労働の両面における取り組みが、Shift Cの「地球」と「人間」の評価につながった。100年以上愛されてきたデザインを、より責任ある方法で未来へつなごうとしている。
ストリートの自由を、責任ある生産背景で支える「ヴァンズ(Vans)」
Shift C評価:ここから
1966年、カリフォルニアで生まれたヴァンズ。「OFF THE WALL」の精神とともに、スケートボードをはじめとするストリートカルチャーの足元を支えてきた。自由な表現を象徴する定番でありながら、その生産背景にも目を向けている。
サプライチェーンでは、水使用量の削減に取り組む。科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標を掲げ、梱包材も最小化している。動物福祉の「5つの領域」に沿った正式な方針を持ち、毛皮、アンゴラ、エキゾチックスキン、ダウンは使わない。ウールの一部には、リサイクル素材または認証済み素材を採用している。
環境だけでなく、労働環境にも目を向けている。ILOの原則を網羅した行動規範を持ち、匿名で通報できる社外苦情処理システムも導入。こうした幅広い取り組みから、Shift Cでは「地球」「人間」「動物」の3軸すべてで3/5を獲得した。
島で育まれた遊び心と、循環する素材選び「カンペール(CAMPER)」
Shift C評価:ここから
1975年、スペイン・マヨルカ島で創業したカンペール。靴づくりの家系4代目が立ち上げ、遊び心のある独創的なデザインを50年にわたり発信してきた。その歴史を受け継ぎながら、素材の選び方にも目を向けている。
リサイクル素材を含む環境負荷の低い素材を、中程度の割合で使用。科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標も設定している。レザーには、レザー・ワーキング・グループ(LWG)認証のタンナーを採用。こうした取り組みが、Shift Cの「地球」評価につながった。
動物由来素材では、リサイクルウールやリサイクルレザーを取り入れている。一部は初期生産段階まで追跡し、ダウン、毛皮、アンゴラは使用しない。これらの方針は、Shift Cの「動物」部門でも評価された。カンペールらしいデザインを大切にしながら、その背景にある素材を着実に見直している。
履き心地の探究を、循環を考える設計へ広げる「ニューバランス(New Balance)」
Shift C評価:ここから
1906年、ボストンで矯正靴メーカーとして創業したニューバランス。「履き心地」を出発点とするものづくりの哲学は、120年近く変わっていない。足を支える機能を追求しながら、製品を生み出す仕組みにも目を向けている。
生産背景では、最終生産段階の半分以上が公正労働協会(FLA)の職場行動規範による認証を受けている。サプライヤーの経済的な安定を支える取り組みも進め、一部の労働者には生活賃金を保証。こうした姿勢が、Shift Cの「人間」部門につながった。
環境面では、リサイクル素材の採用に加え、自社デザイナーへのトレーニングも実施。製品が完成してからではなく、設計段階から循環性を考えるための取り組みだ。シューズを変えるだけでなく、作り手の意識から変えていく姿勢が、Shift Cの「地球」部門でも評価されている。
80年続くモノづくり。長く履ける一足を届ける「ノヴェスタ(NOVESTA)」
Shift C評価:ここから

ノヴェスタのルーツは、1939年にスロバキアのパルチザンスケで操業を始めた靴工場にある。チェコの大手靴メーカー、バタが築いた工業団地で、天然ゴムとコットンキャンバスを使った靴を80年以上作り続けてきた。代表モデルの「STAR MASTER」は、ヨーロッパの工場生産らしい実直な佇まいで、日本でも人気が高い。
生産は現在もパルチザンスケで行われている。伝統的なバルカナイズ製法による丈夫な作りが、長く履ける一足を支えてきた。Shift Cでは、オーガニックコットンを含む環境負荷の低い素材の使用や、布地の切れ端の再利用が評価されている。素材や生産方法に加え、サプライヤーを定期的に訪問している点や動物由来の素材を使用していないことを証明する「PETA認証」を取得したモデルの展開も評価につながった。自社工場を軸に、素材の調達先とも関係を築きながらものづくりを続けている。
厚底の革新と、有害化学物質を減らすものづくり「ホカ(HOKA)」
Shift C評価:ここから
2009年にフランスで生まれたホカ。厚底クッションという新しい発想で、ランニングシューズの常識を変えた。現在はDeckersグループの一員として、世界のランナーやハイカーから支持を集めている。
環境面では、リサイクル素材、再生素材、天然素材などの優先素材を採用しており、99.65%以上のフットウェアモデルに、少なくとも1つの優先素材が使われている。また、製造過程で使われる、労働者や環境に有害な揮発性有機化学物質(VOC)も最小限に抑えている。2025年までに、対象とする有害化学物質を排除する目標を定め、順調に進んでいると報告した。こうした取り組みが、Shift Cの「地球」評価につながっている。
動物由来素材については、ミュールジングフリーのウールを調達する方針を明示。一部の素材には使用廃止の期限も設けており、Shift Cの「動物」部門で評価された。高いパフォーマンスを追求しながら、素材や製造工程による負荷も減らす。その両立を目指す姿勢が、ホカのものづくりに表れている。
山で培った機能を、循環するシューズへつなぐ「サロモン(Salomon)」
Shift C評価:ここから
1947年、フランス・アネシーで創業したサロモン。スキーからトレイルランニングまで、山とともに歩んできたアウトドアブランドだ。自然の中で発揮される機能を磨きながら、使用後のシューズを循環させる方法も形にしている。
象徴的なのが、リサイクル可能なランニングシューズ「INDEX.01」だ。使用後に回収し、素材を分離して再資源化する循環設計を採用している。ソールは、アルペンスキーブーツの原料にも生まれ変わる。現在はシリーズ第3弾「INDEX.03」まで進化しており、一過性の実験で終わらせず改良を続けている。
使用後のシューズを回収するサービスに加え、有害化学物質を排除する方針もShift Cで評価された。ウールはミュールジングフリーで調達し、動物由来素材の多くには、リサイクルまたは認証済みの代替素材を採用している。山で使うための機能を追求しながら、自然への負荷を抑える仕組みも一足の中に組み込まれている。
排出量を可視化し、ゼロカーボンの一足を業界へ開く「オールバーズ(Allbirds)」
Shift C評価:ここから
2016年にサンフランシスコで創業したオールバーズ。メリノウールのスニーカーで注目を集め、「世界一快適な靴」と評されてきた。2020年には、全製品にカーボンフットプリントを表示した世界初のファッションブランドとなった。
その集大成が、世界初のネット・ゼロカーボン・シューズ「M0.0NSHOT Zero」だ。シューズ業界の平均が14kg CO2eとされるなか、カーボンオフセットに頼らず0.0kg CO2eを達成した。素材には、再生型農業で生産されたカーボンネガティブなウールや、サトウキビ由来のミッドソールを採用。2025年に世界500足限定で発売した。さらに、その製造手法を「RECIPE B0.0K」として公開し、他社も活用できる形で業界へ共有している。
さらに、動物由来素材の扱いにも明確な基準を設けている。動物福祉の「5つの領域」に沿った方針を持ち、使用する動物由来製品は、ZQ認証ウールを含む認証素材で構成。革やダウンを使わない姿勢も評価され、Shift Cの「動物」部門では「良い」を獲得した。ゼロカーボンの一足を作るだけでなく、その方法を業界へ開いている点もオールバーズらしい。
丈夫なブーツの先に、捨てない循環を築く「ティンバーランド(Timberland)」
Shift C評価:ここから
1952年にマサチューセッツで創業したティンバーランドは、1973年に誕生したイエローブーツを機に、世界的な存在となった。堅牢なワークブーツを作り続けてきた歴史は、「長く履ける靴」というサステナビリティの原点にも重なる。
2022年には、製品回収プログラム「Timberloop」を始動した。使用済みのフットウェアやアパレルを回収し、分解した部品を再利用・リサイクル。状態に応じて修繕し、再販する仕組みも備える。2030年までに全製品を完全な循環型デザインへ移行する目標を掲げ、分解を前提に設計したスニーカーもすでに発表している。
こうした循環の仕組みに加え、梱包材の最小化にも取り組む。動物福祉の「5つの領域」に沿った方針を掲げ、リサイクルウールやダウンも採用。これらの取り組みが、Shift Cの評価につながった。
シープスキンの快適さと、調達への責任を両立する「アグ(UGG®)」
Shift C評価:ここから
1978年、オーストラリア人サーファーがカリフォルニアで創業したアグ。シープスキンブーツの快適さは、サーフカルチャーから世界のファッションシーンへと広がった。現在では、冬の定番として幅広く支持されている。
環境面では、運営会社であるDeckersが環境配慮素材の拡大や化学物質管理プログラム(Chemistry & Consumer Safety)を推進。製造工程における環境負荷削減を掲げるこうした取り組みが、Shift Cの「地球」評価につながった。
シープスキンを象徴とするブランドだけに、動物由来素材の調達も重要なテーマだ。ミュールジングフリーへの配慮を含む責任あるウール調達を進めるほか、Deckersを通じてフットウェア用ウールの100%を再利用ウールまたはRWS(Responsible Wool Standard)認証ウールとし、レザーやシープスキンについてもLWG(Leather Working Group)認証素材の採用を推進している。これらがShift Cの「動物」部門でも評価された。
さらに日本国内では、2021年から森林保全団体more treesと連携し、奈良県天川村で「UGGの森」プロジェクトを展開。社員約120名が参加し、約4ヘクタールの土地に多様な広葉樹約2,000本を植樹するなど、地域と一体となった多様性のある森づくりを続けている。
定番の形はそのままに、素材の中身を変えていく「クロックス(Crocs)」
Shift C評価:ここから
2002年に誕生したクロックス。独自素材「クロスライト」が生む履き心地で世界へ広がり、カラフルなクロッグはファッションアイコンの一つとなった。誰もが知る定番の形を保ちながら、その素材と生産のあり方を変え始めている。
2021年には全製品のヴィーガン化を完了し、2030年までのネットゼロ達成を宣言した。クロスライト素材には、植物由来のバイオ素材を導入。2024年には、全製品でバイオ循環型素材の含有率25%を達成している。別ラインを設けず、価格も変えないまま、既存の商品を置き換えている点が特徴だ。
全製品をヴィーガンへ移行した実績は、Shift Cでも高く評価されている。「動物」部門では最高評価の「素晴らしい(5/5)」を獲得し、今回紹介するブランドではクロックスのみとなった。特別なラインを選ばなくても、いつもの一足が動物福祉に配慮された選択肢になる。その身近さも、この取り組みの特徴だ。
足元から始める、サステナブルな選択
フェアトレードを軸にした素材調達や、ゼロカーボンを目指す設計。全製品のヴィーガン化や、履き終えた靴を回収する循環型サービス。今回紹介した12ブランドは、それぞれ異なる方法で、シューズの作り方を見直している。
デザインや履き心地を入り口にしながら、その一足がどのような素材で作られ、誰の手を経て届くのかを知ることも、靴を選ぶ楽しみの一つだ。Shift CのブランドDBでは、シューズブランドのエシカル度も検索できる。次の一足を選ぶときは、その背景にも目を向けてみてほしい。