新しい文化を世界へ！ヘラルボニーがパリにて海外初の展示会を開催

「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、異彩作家とともに新しい文化をつくる株式会社ヘラルボニー。9/23～10/1の期間、パリ・ファッションウィークに合わせて海外初となる展示会「Artistes et HERALBONY」を開催中だ。関係者のみの招待制で行われた9月23日の内覧会の様子や現地の方の反応について話を聞いた。

原稿：白石綾

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パリでの子会社設立による新たな挑戦。世界最大級のスタートアップ集積施設「StationF」で活動開始

JRやJALなどさまざまな業種とのコラボレーションや、丸の内での国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024」も記憶に新しいヘラルボニー。同社は2024年9月より、世界最大級のスタートアップ拠点「Station F」を拠点に、海外事業展開を開始した。主にフランスでの事業は、BtoB事業であるライセンスビジネスを主軸として欧州の現地企業との協業を目指す。ヘラルボニーが管理する241名(取材当時の契約数）による 2,000点以上の異彩作家によるアートデータを活用し、「障害」のイメージ変容に繋がる事業をグローバルに展開していくという。
今後は、現地の福祉施設などを通じて、新たに海外のアーティストとの契約締結に向けても取り組んでいく予定だ。

広報の小野さんは、「現地の企業にヒアリングをしていく中で、へラルボニーのビジネスモデルに驚かれるケースが多くありました。ヨーロッパでは『アール・ブリュット』のひとつとして、障害のある人がアートを描く環境は日本よりも整っていますが、民間企業がビジネスとして障害のあるアーティストを起用し商品を販売、その収益の一部をアーティストにロイヤリティとして還元するというビジネスモデルは、これまで聞いたことがないという声も多数あり、海外展開の可能性を実感しました」と語る。

オリジナリティあふれる9作家、10作品のスカーフがお披露目された。壁に飾られているのは「HERALBONY Art Prize 2024」で受賞した浅野春香の「ヒョウカ」。

ファッションウィークに合わせ開催中の「Artistes et HERALBONY」

ヘラルボニーにとって海外初となる展示会は、パリ・マレ地区のアートギャラリー「Galerie Christian Berst」にて2024年9月24日から10月1日まで開催中だ。9アーティスト10作品を展開、アートの力を最大限に引き出す最高級シルクサテンのスカーフを中心に、新たなヘラルボニーの世界を届けている。関係者のみの招待制で行われた23日の内覧会には200人以上が来場。すでに大きな反響を得ている。

「パリには日本よりもアートが生活に身近な環境があります。今回、スカーフの原画も展示していることでアート作品として捉えてくれる方も多く、作品自体の美しさに興味を示してくれる方も多かったです。技法や画材、アーティストに関する質問をいただくなど、プロダクトとしてではなくアート作品として見てもらっていると感じました」と小野さんは語る。

”異彩アート”の輝きを支える、障害のある人々のクラフトマンシップ

今回のスカーフは素材や製造工程などをアップデートし、トレーサビリティを高めていることも特徴だ。愛媛県のユナイテッドシルク社との協業により、養蚕から繭を原材料へと加工する過程の一部を障害のある人々が担い、ていねいな手作業によって作られたシルクを使用している。

「へラルボニーは現在アートにフォーカスしていますが、将来的には全ての障害のある人々がありのままでリスペクトされ、社会的な障壁がないフラットな状態を目指しています。その中で、クラフトマンシップとも言えるこの手作業を、障害がある人々が担っています。実際に『せとうちシルクファクトリー』に足を運び、働いている皆さんとのお話しを経て、思いを感じた上で、協業が実現しました」と小野さん。

日本未公開のシルクスカーフとその原画を楽しめる貴重な機会、現地にいる方はぜひ10月1日までに足を運んでほしい。

Artistes et HERALBONY
2024年9月24日〜10月1日 10:00〜18:00予定
Galerie Christian Berst
3-5 Pass. des Gravilliers, 75003 Paris